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ダークな性格と子どもの人数との関連
マキャベリアニズム(他者の捜査や搾取),サイコパシー(共感能力の欠如や抑制の欠如),ナルシシズム(特権意識と自己中心性)の3つのパーソナリティ特性の組み合わせは,ダーク・トライアドと呼ばれます。そしてこれらにサディズム(他者が苦しむ様子を見ることに快感情を抱く)が加わると,ダーク・テトラドといいます。
子ども
子どもがどれくらい生まれるかは,進化における適応度を考える上で重要なポイントです。ダークなパーソナリティの持ち主が淘汰されない背景には,一定のメリットがあることが必要なのですが,もしかしたら子どもの人数に影響するから,という可能性も考えられます。
しかし,ダークなパーソナリティと繁殖力つまり子どもの人数との間の関連については,明確な研究知見があるとは言えない状況です。
これまでの研究では,ダーク・トライアドと子どもの数との関連を検討した研究がひとつだけあるようです。結果からは,男性におけるナルシシズムと子どもの人数との間に,プラスの関連が報告されているようです。また,サイコパシーについては男女とも子どもの人数との間にマイナスの関連が報告されています。
犯罪
ダークなパーソナリティは,犯罪発生率にも関連するとされています。そして,犯罪を犯すことは,ダークなパーソナリティと同じ「速い」生活史戦略に関連するとされます。生活史理論というのは,生物が生存や繁殖のどこに資源を集中させるかということを問題にする理論です。そして,「速い」生活史戦略というのは,早期に成熟すること,低年齢での初産,少ない親の養育,寿命が短いといった特徴を取ることを指します。これらは,生物間の違いを説明することもできますし,人間の中でも個人差,集団差の説明として用いられます。
しかしデータによると,犯罪行為や非行は,少ない出生との関連も報告されていて,なかなか難しいところでもあります。
刑務所の研究
今回紹介する研究は,セルビアの刑務所で得られたデータを分析するものです。ダークなパーソナリティと犯罪歴,そして子どもの人数との関連を検討しています。どのような関連が見られたのでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Reproductive ecology of dark personalities: Dark Tetrad traits, criminal career, and fertility)。
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