
ホノルルの水泳教室
サバティカル中,4ヶ月間ホノルルに滞在しました。もう遠い昔の思い出になりつつある記憶です。ああ,もう一度もどりたいですね。
でも,もちろん大変なこともたくさんありました。
滞在中のホノルルで,次女と末の息子が,ハワイ大学の水泳教室に通っていました。今回は,その思い出を書いてみようと思います。
水泳教室プログラム
通っていたのはホノルル大学の中のプールで開かれていた水泳教室です。この,Swim Hawaiiというプログラムです。
1回のレッスンで16ドル,週に2回のレッスンがあります。子どもの場合,1回のレッスンは30分から45分です。値段的にはどうでしょう?日本と比べても安くはないですよね。日本のスイミングクラブで週に2回のレッスンがあっても,月謝が1万円を超えることはあまりないように思います。さらに,キャンパス内に車を停めるのに毎回5ドルかかります。
値段が高めですし,ホノルルの公営プールは全て無料ですし,教室には子どもは多くありません。日本のスイミングクラブは本当に子どもが多いですよね。ああいう感じではないです。
コーチ
この水泳教室を設立したのはDr. Jan Prinsという人です。ちなみに私たちが参加した時は,彼が一線を退く直前だったようです。途中から代表者が後任に代わっていました。
だいたい,子ども2から4人に,コーチが一人つきます。そして,コーチたちは専門のトレーニングを受けていたり,それを学びに来ている大学院生たちだったりします。現在教室を取りまとめている人も,ハワイ大学の水泳とダイビングのコーチの方のようです。
マンツーマン
実は末の息子は,水にほとんど顔をつけることもできない状態で,この水泳教室に入りました。しかも,英語はまったく話せません。近所の公立小学校に通っていましたが,そこでもほぼ不適応状態でした。
「まったく泳げない」「英語もできない」という状態を事前にe-mailで相談したところ,それでも「対応しますよ,まったく問題ない」と受け入れてくれました。そして,たまたまそのプログラムに入っていた日本語を話せるスタッフがマンツーマンでうちの息子を教えてくれることになりました。たまたまだったかもしれませんが,なんと手厚い……と,感謝しました。
足がつかないプール
とはいえ,息子は本当に,最初は水に入るのも嫌がっていました。ずっとコーチにしがみついていたり,プールサイドにくっついて手すりのようにして移動します。なにせ,プールの底に足が届かないのですから当たり前ですよね。水に顔もつけられない子どもが,いきなり足がつかないプールに入れられるなんて,恐怖以外の何ものでもありません。
誰も息子のことを怒ったり,声を荒げたりははしません。できることを少しずつやって,できたらとにかく褒めていきます。毎回のレッスンは30分程度なのですが,これで大丈夫だろうかと最初は心配しながら見ていました。
でも週に2回通い続けるうちに,次第に犬かきのような形で泳げるようになっていきました。最後の方は仰向けで15mほども。水に入る恐怖のようなものは,まったくなくなっていきました。
水への恐怖
ホノルルに行った頃は海を見ても入ろうともしなかった息子が,最後はボディボードを抱えて波打ち際に走って行くようになりました。ほんの2〜3ヵ月でしたが,とても良い経験でした。
中途半端に教室を終えてしまったために,今でも息子はちゃんとは泳げません。フォームもぐちゃぐちゃで,息継ぎもちゃんとできるわけではありません。でも,あの教室がなかったら,今も水に入ろうとはしないかもしれません。
そういう「怖い」とか「入りたくない」という気持ちがなくなる様子を見て,成長を実感して,それをサポートしてくれたコーチたちに感謝したのでした。
日本ではない様子
その水泳教室ですが,日本では見られないような様子もいくつかありました。
たとえば,水に慣れてきた子どもたちを水面にいるコーチが抱えて,空に放り投げて,「バシャーン」と水に飛び込んでケラケラと笑う子どもたちの様子です。子どもを放り投げるなんて,日本ではまずないと思うのですが,子どもたちはとても楽しそうでした。
レッスンの終盤になると「飛び込んでみる?」と,板飛び込みのプールに行ってひとりずつ飛び込むということもありました。もちろん一番下の板なのですが,プールサイドから伸びる板にひとりずつ立って,板の勢いをつけて飛び込みます。うまい子は頭から飛び込みますし,足から飛び込んでもOKです。飛び込みのプールですので水の底は数メートル下です。もちろん,足がつくようなことはありません。
そういう足がつかないプールで泳ぐので,立ち泳ぎができないと困ってしまいます。その場で手足を使って浮かぶ,ということもできるようになるようです。
それから,足にフィンをつけて泳ぐ練習もありました。スピードが出る感覚を体得するのかな,と思ったのですがどうでしょうね。あるいは,フィンをつけた方が足のバタ足の動きがきれいになるのかな,とも。本当のところはよくわかりませんが。子どもたちは,泳ぐスピードが出るので楽しそうでした。
世界水泳やオリンピックの試合を見ていると,日本はこんなに水泳教室に通っているのに対して,アメリカはそうでもないのに,どうしてアメリカの水泳選手は強いのだろう?と不思議に思うことがあります。たぶん,こういう教え方のなかに何かがあると思うのですよね。そんな一端を感じた経験でした。
ここから先は
¥ 100

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?