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薬物の多剤服用に関連する性格
ひとりの人が5種類以上の薬を同時に使用することを,ポリファーマシーというそうです。これは,成人期とくに高齢になると多くの人にとっての問題となりえます。複数の薬剤を同時に使用することは,薬どうしの相互作用,薬の副作用,薬と疾患の相互作用などによって,さまざまな悪影響をもたらす可能性があります。
ポリファーマシーの影響
ポリファーマシーの傾向が高い人ほど,身体的な虚弱,転倒リスク,認知障害,入院リスク,全死因死亡のリスクが高くなるという研究結果があります。このような結果を生み出すポリファーマシーですから,その背景にある要因をしっかりと理解しておく必要があります。
背景要因
ポリファーマシーの背景要因としては,高齢であること,BMIが高いこと,精神的な健康の悪化,慢性的な健康状態の悪化が,ポリファーマシーのリスクの高さに関連することが報告されています。
では,何かしら,パーソナリティ(性格)はポリファーマシー傾向に関連するのでしょうか。
ビッグ・ファイブ・パーソナリティの研究では,成人期を通じて身体的な健康との間に多くの研究結果が報告されています。特に,神経症傾向が野鶴,勤勉性が低いことは,ネガティブな感情を抱きやすく自己制御傾向が低いことを表します。この組み合わせは,身体的な健康度の低さにおおよそ関連することが知られています。肥満,抑うつ傾向,認知機能の低下,認知症リスクの高さ,死亡リスクの高さにも,この組み合わせが関連しています。
性格と薬剤使用
これまでに,パーソナリティ特性とポリファーマシーとの間の関連を検討した研究は,ほとんどないようです。そこで,複数の大規模な調査プロジェクトのデータを分析した研究から,両者の関連を検討したらどうなるでしょうか。では,こちらの論文を見てみましょう(Personality traits and polypharmacy: meta-analysis of five samples)。
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