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ポケットの中でスマホが振動するような気がする症候群
自分のスマホが鳴っているような気がするけれど,画面を見たら違っていた……という経験はありますか。そういう現象のことを,幻想振動症候群と言うそうです。
日本語では幻想振動症候群という名前がついていますが,英語だとPhantom vibration syndromeまたはphantom ringing syndromeということで,振動だけでなく呼び鈴が鳴っているような幻想も含む現象のようです。
Wikipediaにも
日本語Wikipediaにも幻想振動症候群の項目があります。そこから英語ページに飛べば,もっと詳しい解説が書かれています。
英語版Wilipediaには,マンガのディルバートがこの現象の出所だと書いてあります。1996年のことで,当時はスマホもなく「ポケベルが鳴る幻想」(Phantom-Pager Syndrome)という内容でした。21世紀になって,ポケベルが携帯電話,スマホへと移行してきたというわけです。
ディルバートは,昔読んでいたMacの雑誌によく載っていました。本も出ています。
実際に鳴る場合も
最近はメッセージだけではなくSNSの通知もきますので,幻想どころか本当に一日中,スマホの通知が来続けている人も少なくないように思います。そうなってしまうと,もはや「幻想」ではありませんよね。
そういう場合に必要なのは,幻想振動症候群を何とかしようとすることではなく,スマホそのものを遠ざけることなのかもしれません。
「依存症だった私が30日間「スマホ断ち」した結果」で書かれている内容は,なかなか面白いと思いました。スマホを一定時間触らないために,陶芸教室に通ったというのも「なるほど」と思います。何時間も集中しなければなりませんし,手が汚れるのでその手でスマホを触ろうとは思いません。禁煙を試みていた頃の自分自身を思い出しました。
医療関係者の研究
大きな病院に勤めるスタッフは,ポケベルや携帯電話で呼び出されるという経験がよくあるようなイメージがあります。実際はどうなのでしょうか。このような,医療スタッフを対象にした研究があります(Phantom vibration syndrome among medical staff: a cross sectional survey)。
実際に,頻繁に呼び出されるような現場で,かつ呼び出されると緊張するような経験を普段からしていると,幻想振動症候群のような状態には陥りやすいのかもしれません。
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