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アメリカをもっと細かく分ける性格

パーソナリティ(性格)特性が国と国でどの程度異なるか,という,一種国民性のような研究はイメージがしやすいかもしれません。その一方で,この20年近くの間よく研究されてきたのは,一国内のパーソナリティ特性の平均値の偏在です。

つまり,「県民性」のような検討ですね。


地理心理学

日本語で「地理心理学」という呼び方が適切なのかどうかはよくわからないのですが,英語ではGeographical Psychologyという呼び方もあるくらいです。これは,心理現象の空間的な分布,マクロ環境の特徴と人々との関係,個人に与えるマクロ的な環境の特徴を特定して理解しようと試みる,心理学の一分野です(とはいえ,まだまだ研究している人数は少ないと思うのですが)。

2001年から2019年までの約20年間に,この分野で発表された論文の件数は200%以上増加(つまり約3倍)になったそうで,地理や地域を含む心理学系の論文も約5倍とか6倍になったといわれています。まさに,ホットな分野だと言えるでしょう。

空間データ

地理心理学では,空間データを利用します。典型的には,ある地域に住んでいる人々から得られた心理学的な変数の得点を集約して,各地域にマッピングしていく方法です。しかし,これにもいろいろなやり方があるようで,それによっても結果が微妙に変わってくるこ可能性あるようです……。

ビッグ・ファイブ・パーソナリティ

ビッグ・ファイブ・パーソナリティの地理的な差異に関する研究のほとんどは,国全体や州レベルの地理的な領域に焦点が当てられています。郡,市,居住地近隣という地域に焦点を当てた研究も存在するのですが,小さい地域に焦点を当てれば当てるほど,大規模なデータが必要になっていきます。

また,パーソナリティの地理的なばらつきを研究する際に重要なのは,地域のパーソナリティの特徴がどのような地理的要因に関連するかを検討することです。

◎政治
◎経済
◎社会環境
◎経済的指標
◎人口動態

などなど,これらの統計的な数値が得られる地理区分じゃないと,こういった検討を行うことは難しいのです。たとえば東京都内だと,23区についてデータが公表されているものと,都レベルで公表されているものが混在していたりします。「何のデータが手に入るのか」という点は,とても大きな問題です。

州よりも小さい地域

さて,アメリカ合衆国では,州レベルのパーソナリティの差異が何度も検討されてきました。しかし,近年ではデータが大規模化していますので,もっと小さな地域で検討することも可能になっています。もっと小さな地域でパーソナリティをマッピングしていくと,どんな地図が描けるのでしょうか。

そんなことを試みているろんぶんがこちらです(Are Regional Differences in Psychological Characteristics and Their Correlates Robust? Applying Spatial-Analysis Techniques to Examine Regional Variation in Personality)。あ,ドイツについても検討しているのですが,アメリカの結果を見ていくことにしましょう。

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