取り残されることへの不安とアルコール問題
取り残されることへの不安は,FoMOと表現されます。これは,Fear of Missing Outの省略形で,自分が参加できていないやりがいのある体験を他の人がしているかもしれないという広範囲の不安であり,ほかの人と常につながっていたいという欲求も意味しています。
自己決定理論
デシとライアンによる自己決定理論によると,次の3つの欲求が人間にとってとても重要だとされています。
◎自律性:自分の行動は自分で決めたい
◎有能性:自分が有能だと感じたい
◎関係性:他者とつながっていたい
これらは誰にとっても重要だとされる欲求で,これらが満たされることが行動を起こす上では重視されます。
FoMOを考えると,明らかに関係性の欲求が満たされていないことを指していそうです。欲求が満たされていない状態になると,人々はなんとか欲求を満たそうと行動します。すると,スマホを使ったりSNSを介して行動したりといった,代替的な行動へとつながっていきます。
アルコール
これは国によっても違いますし,時代によっても異なるでしょうが,大学生はアルコールに関するリスクも高まる時期だと言われます。私が大学生の頃は,入学したらすぐにお酒を飲む会が開かれたりしたものですが,現代の日本の大学生は,基本的に20歳を過ぎるまでお酒を飲まない文化が浸透しているように見えます(問題が発覚したら大学から処分が下されてしまいますし)。
アメリカでも「パーティ・スクール」という言い方があるように,飲み会が多いことで有名な大学というものはあるもので,アルコール関連のトラブルが問題視されることもあります。とはいえ,アメリカだと基本的に飲酒ができるのは21歳以上のはずなのですが……。
FoMOとアルコール
取り残される不安は,アルコールへの欲求を喚起するのでしょうか。今回は,ニュージーランドの大学生を対象におこなわれた研究を紹介します。こちらの論文を見てみましょう(FoMO predicts alcohol use and harms over and above the big five personality traits among university students)。
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