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時代とともに人々は自分が若いと思うようになってきた

割引あり

「自分が何歳くらいに感じますか?」(How old do you feel?)という質問が,研究でよく使われます。このたったひとつの質問で,よく主観的年齢というものが測定されるのです。


年齢バイアス

おおよそ,中高年になると,大部分の人々が自分の年齢よりも主観的年齢を若く見積もることがわかっています。この現象のことを,主観的年齢バイアスと呼ぶことがあります。もしかしたらこれは,自分自身が年齢を重ねていくことに対する自然な反応なのかもしれません。

主観的年齢は,加齢に対する生物学的・心理社会的なマーカーであるとも言われます。より若く自分自身を捉えることは,より身体的に健康であること,精神的にも健康であること,認知機能が十分であること,幸福感やウェルビーイングが高いことも表しています。

限界

しかし最近の研究では,単に主観的年齢が若ければ幸福感が高くなるという,単純な関係にはならないことも報告されているようです。年齢を重ねても,自分が若い,とても若いと感じることは,むしろ現実から目を背けて逸脱してしまっているとも考えられます。

また,昔の中高年よりも,現在の中高年の方が「自分は若い」とより思うようになっているかもしれません。一昔前に比べて,現在の方が若々しい人が多いですからね。主観的年齢は,実年齢によっても,時代によっても変わってくる可能性があります。

そこで,ドイツの大規模かつ縦断的なデータを用いて,主観的年齢について検討したらどうなるでしょうか。こちらの論文を見てみましょう(Younger Than Ever? Subjective Age Is Becoming Younger and Remains More Stable in Middle-Age and Older Adults Today)。

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