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億万長者の顔をした怪物

今回は,『ジェフリー・エプスタイン:億万長者の顔をした怪物』(ジュリー・K ブラウン著,2022年)を紹介したいと思います。


何があったのか

ジェフリー・エプスタインはアメリカの金融業界で成功を収めた大富豪で,多くのセレブや起業家,政治家,科学者,王族とも広く交友関係を広げていた人物です。英王室のアンドリュー王子も,クリントン元大統領も,トランプ大統領も,エプスタインとの交流があったことが明らかになっています。

本の中にも描かれていますが,ジェフリー・エプスタインの交友関係はきわめて広く,何か問題が起きたとしても「これは,周囲が何かを発覚するのを恐れて隠蔽するだろう」と想像できてしまうほどです。

2000年代初め頃に,未成年の少女を含む多くの女性に対して性的搾取や人身売買を行ったということが,次第に明らかになっていきました。2005年に初めて未成年の性的虐待で告発され,司法取引によって軽微な刑罰にとどめられました。2019年,エプスタインは未成年者の人身売買と性的虐待の容疑で再び逮捕されます。エプスタインが所有するカリブ海の島をはじめとした多くの場所で行われた性的搾取について,多くの被害者が証言をしていきます。

しかし2019年8月,エプスタインは拘置所内で死亡します。この死亡に関しては不審な点が多く,陰謀論も広まっているのですが,これは致し方ないのではないかと思わされます。

ジャーナリズム

本書のもうひとつの柱は,アメリカでジャーナリストが何を考えて,どのような立場であって,どのように取材をすすめて記事を書いていくかという様子が描かれている点にあります。

そして,インパクトのある記事を書くことで,ジャーナリストも名が知られてより良い職場に移る確率が高まっていきます。

エプスタインのような交友関係が広く権力を持つ人値とが相手になるケースでは,ジャーナリストにも危険が迫ってくる可能性があります。何か起きるのではないかと,はらはらさせられる様子が描かれているところも興味深いところです。

それにしても,結局は,この件はすべてが明らかにはなっていないのですよね。大統領や王族や,超大金持ちたちが事件に絡んでいる可能性もあって(パーティに参加したりしていることは確かですので),なかなか闇は深そうです。

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