情動知能が仕事に結びつく程度
1990年代以降,いくつかの研究分野で情動知能(Emotional Intelligence; EI)の研究が盛んに行われてきました。特に,経営学や組織行動学,リーダーシップの分野でも情動知能への注目が高まってきたようです。
この背景には,働く人々の情動知能の価値が高まっているからであるかもしれません。組織内の感情を効果的に管理する企業は,感情を無視する企業よりも,業績が向上して,収益率も高くなると言われているそうです。
情動知能の効果
他にも,感情をうまく管理することで,従業員の相互理解,共感の高まり,相互理解,組織独自の感情的風土の醸成などにつながると言われています。
これらは,いずれも組織において重要な問題であり,情動知能に深く関連するとされます。
情動知能
情動知能の中でもさまざまな研究が行われていますが,サロウェイたちによる四枝モデルが知られています。
◎情動の知覚と表現
◎情動と思考の統合と思考の促進
◎情動の理解と分析
◎情動の反射的表出の管理
これらの枠組みでは,情動知能を単なる個人差と言うよりも,スキルや能力として捉える傾向があります。
情動知能とパフォーマンス
情動知能は,仕事上のパフォーマンスを高める要素となるのでしょうか。これまでにも,職業上のパフォーマンス,職務満足度,組織へのコミットメント,バーンアウト,ストレス,リーダーシップ,動機づけ,組織の中の公正,非生産的な職務行動など,職に関連する多くの指標と情動知能との間の関連が検討されてきました。
しかし,研究が散発的で統合的な治験となっていないという問題もあるようです。そこで,情動知能は,組織内のさまざまな指標とどのように関連するのか,メタ分析で検討した研究を見ていきましょう。こちらの論文です(A Meta-Analysis of the Relationships Between Emotional Intelligence and Employee Outcomes)。
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