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サディスティックな消費とは何か

割引あり

Netflixの『極悪女王』,思わず一気に観てしまいました。80年代のプロレス全盛期,毎日のようにテレビで流れていたのを観ていましたので,なつかしさもあって。


血まみれ

それにしても,極悪女王のドラマの中もそうなのですが,80年代のプロレスは「流血」が欠かせませんでした。よくあんなに血まみれの様子をテレビでお茶の間に流していたものだとも思うのですが,多くの人々が興奮して楽しんで見ていたのも確かです。

さて,考えてみれば,メディアで流れるドラマでも映画でも,暴力や死のシーンは欠かせないものになっています。世界的にランキング上位に来る映画の多くもそうなので,世界じゅうの大部分の人々は,暴力や死の場面を観るのが好きなのか?と考えてしまいそうです。

この傾向は,日常的サディズムの広がりと重ねて論じられることがあります。

日常的サディズム

日常的サディズムというのは,普段の生活の中で他者の苦しみを観て快感情を抱く傾向のことを指します。日常的サディズムの測定には,「殴り合いの喧嘩を見ると興奮する」とか「暴力的な映画やビデオゲームが大好きだ」といった質問項目が用意されます。

現代人は死に関連するコンテンツをかつてないほどに消費しています。日常的サディズムは,特定の購買行動にも影響を及ぼすのでしょうか。

サディスティックな消費

特定の商品やサービスに直接または間接的に関連する死や暴力から得られる楽しみや満足感,興奮といったポジティブな感情に関連する消費のことを,サディスティックな消費と呼ぶことがあるそうです。

たとえば,廃墟や心霊スポットをめぐるダーク・ツーリズムなどはその一例でしょう。また最近では,自らの意志で誘拐される体験を味わうサービスを提供する企業もあるそうです。

ダークな消費

マキャベリアニズム,サイコパシー,ナルシシズム,サディズムという4つのパーソナリティ特性のまとまりをダーク・テトラッドと呼びます。これらはそれぞれ,特定の消費パターンに関連する可能性があります。

サディズムは,ダークな消費に実際にどのような関連するのでしょうか。この点について検討した研究を見ていきましょう。こちらの論文です(Investigating everyday sadistic consumption within dark tetrad)。

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