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【読書感想文】旅のラゴス
こんばんは、今回はアット新潟ライターのこじけんがお届けします。
今回は読書感想文ということで私の好きなSF小説の一つ「旅のラゴス」をご紹介させて頂きます!この本を手に取ったのは中学1年生の時。iPod touchで「面白い小説ランキング」と調べて個人ブログにヒットして、その後早速書店で手にしました。書き方や単語の意味に悪戦苦闘しながら読んだ思い出の一作です。実は先日2度目の完読をして10年前の懐かしさに震えました。
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初めに
この物語は「ラゴス」という主人公が旅をする話です。旅といっても彼の人生。人の一生を描いた話でしたのでまさに人生という感じで読み終わる頃には深く心打たれました。人生と旅って似ているよね?そんな感じです。
「旅のラゴス」の舞台は、元々高度な文明を持っていたが、文明の退化と引き換えに空間移動や壁をすり抜けるような能力を持つ人々が住む惑星です。「ラゴス」は失われた文明を求めて北から南へ旅に出ます。
旅の目的
「ラゴス」は旅の目的を叶えると旅の目的を変えてまた旅に出ます。こじけんとしては「ラゴス」の目的は主に3つあったかなと思います。
①知識〜失われた文明を知るために南へ
②故郷〜故郷に帰りたい、望郷の念に駆られる「ラゴス」
③思春期の恋心〜あの時の子に会いに北へ
道中、所変われば奴隷になったり王様になったりと波瀾万丈な旅を経て目的を達成します。得た知識から文明を切り開き名誉や財を成しますが、最後は老いてしまっても消えない、旅の道中で出会った女性にまた会うために再度旅に出るという物語です。
読み進めるに連れて、「ラゴス」を筒井先生自身に重ねているのではないかと思うほど主人公の人間味が非常に伝わってきます。
さらに作者のこだわりを感じる所は主人公の目的の変わり目と主人公の一人称の変化です。若い頃は貪欲に知識のために旅をしていた「オレ」が、老いて郷愁し、知識を広め始める頃には謙虚さを感じられる「私」へ変化していました。
作品の味
この作品の面白いところは「未来」と「過去」を表裏一体にして描いているところだと私は感じました。先ほど述べた知識欲は失われた高度な文明に対してのものであり言わば「過去」です。一方高度な文明は当然その世界での「未来」であり、この世界は過去を振り返るラゴスが最も先進的でした。知識というタイムマシンで時代を行き来するところがSFらしさを感じさせないSFであり、この本の味でしょう。
旅のラストは帰還ではなく、果たせない願望である再会を目指しての旅立ちです。まさに主人公は旅の中で生きていて、旅の中で死んでいきます。作品の最後は「ラゴス」と最北の地で一人孤独に住む老人との別れでした。この先には誰も住んでいない、「死」しかないと老人に説得はされたものの「ラゴス」はまだ北に恋した女性がいると信じて旅へ出ます。
そのシーンではもう生きて帰って来れない、十中八九その女性に会えないと悟り、絶望し鳥肌が立ちました。しかし、彼の生き方、それを貫く姿勢は深く読者に刺さるものです。是非読んで欲しいと思います。
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