セピア

見つけたのさ
僕が描いたボロボロの絵を
幾つの時に描いただろう
記憶は曖昧で信じられない
だけど何も書いてない
幾つの時を超えたのだろう
僕が覚えられないほどの
大きな荷物だったのかな

頭に浮かぶのは
崩れそうな記憶たち
言葉に出せば出すほどに
間違いがどんどん増えていく
楽しい記憶も嫌な思い出も
何も変えなくていいから
その時その色のままで
思い出せないのかな

色あせてゆく写真と
薄れてゆく思い出の絵たちは
忘れられて当然と思って
色を変えるのでしょう
僕だって誰かの記憶に残り続けたくない
だけど僕は絵になれない
色あせてゆく記憶を作るだけ

見つけたのさ
僕が書いたボロボロのメモを
なんて汚い字なのだろう
何を思ったかさえわからない
だからメモに書いたはずなのに
きっとたくさん書き残したのだろう
-いやだ、帰りたくない-
心は突然 連れ去られる

記憶に埋められた
強い痛い感情たちが
今、思いおこせば
傷がどんどん増えていく
楽しい記憶も嫌な思い出も
これ以上変えなくていいから
その時その色のままで
…心は埋めたままじゃダメかな

色あせてゆくメモと
消えようとしない筆跡たちは
忘れられて当然と思って
いつまでもしがみつくのでしょう
僕だって忘れたいことだってあるさ
だけど僕は心を捨てられない
忘れることしか知らないんだ

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