海龍に紅を
海に堕ちて 拾われたのは
海に住まう龍だった
小さな体では沈みきれず
ただ浮いて漂って いつからか堕ちた
私を見つけて 一緒に居させて
人の心には住めないから
私は何か悪いことしたの?
気付けなくてごめんなさい
哀しみの海に沈んでゆく
海の底にも龍宮があるよと
古の人は言うたとか
紅を咲かせて 私は沈んだ
私は悪いことをしていたの?
気付けなくてごめんなさい
どうして海の向こうを目指すの?
私はここに居たいだけ
海神の宮に堕ちていく
命はいつでも重たいから
堕ちても命が抜けた身体は
軽くて水面に漂うだけ
私を見つけて そばに居させて
ずっと寄る辺が無くて 哀しいの
貴方が気付ける印を遺した
私の命を 海龍に紅を