呼ばれる方へ

フェリーの操縦席へ
道は何処にも無い
なのに素人が座り
船を動かしている

私はいつの間にか眠っていたようでして
船の中には学校があるようでして
イタズラ好きな年頃の子には
普通の座席じゃ物足りない

ロープを掴んで 揺れに合わせて
何処まで跳べるかやってみても
あの操縦席には辿り着けぬと
老婆が一言 助言した

ならば道を違える迄 と
無茶な跳び方で辿り着く
その子は車に乗って逃げる
車は潰れ その子は消えた

青空の下に漂うフェリー
見えてはいないが 何故だか分かる
呼ばれたんだ、あの世界へ
私は同じく逃げて走る
捕まるものかと 鼠に変じて

最後は結局大声を出すこと
それで誰かの助けを呼べる
私を呼んだのは誰の声?
船に流れる経文の二重奏は
壮大な交響曲と通じていた

色鮮やかなのに 何故か命に携わる
ストーリーと景色が矛盾する
そんな夢枕はいつまで続く?
私を呼ぶ世界も変化する

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