仮面-喜びの島-
仮面に誘拐される僕は
どんな色の
どんな紋様の仮面を
自分に被せているのだろう
喜びの紅色に
染められた純白の仮面は
挫折の青を知る度に
色を黒く塗られてゆく
紅色の島には
魚はいない
鳥もいない、花も咲かない
けれども
喜びに満ち溢れた
幻の島
幻の島には
仮面がひとつ
なんとも言えぬ
美しい仮面の彩りが
果てた色の仮面を
この僕を
島へ連れて行こうとする
島へ行くことは
拍動が途絶えること
死への道を
幻の鏡石に
導かれるままに
僕は仮面と共に
連れて行かれる
喜びはすぐに生まれ
すぐに消え逝くもの
それを知りながら
仮面に惑わされる僕は
とても愚かだと知りながら
妖しい仮面の美しさには
影と恐ろしさがある
仮面は心の奥深くに
深い傷を癒せぬまま
傷を埋めるかのように
仮面は人を呼ぶ
汚れた仮面の欲望を
魔法でぴたりと
当ててしまうかのように
幻の仮面は
僕の仮面の心を
故郷へおいたまま
遠い見果てぬ島へ
連れて行った