ブルーのオクスフォードシャツとヒガンバナ(73回目)
午前がぽっかり空いたので府中郷土の森に行って彼岸花を見てきた。
カメラ爺さん、カメラ婆さん多数。
まあ平日の午前だしね。
花は見頃のようで、とても見応えがある。
曼珠沙華はサンスクリット語のmanjusaka。「天上に咲く赤い花」という意味らしい。
根は有毒で畑のもぐら避けや土葬の頃の墓地に多く植えられていたから、あまり鑑賞してどうのという花ではなかった。
ヒガンバナは球根から発芽する。
一般的に日本のヒガンバナは種子ができないとされていて、勝手に自生したりすることはない。
土中で分球して増えているので、地域で一斉に開花するのはクローンである所以だ。
カメラはニコンD60。レンズはAiではないニッコールの28mmF3.5とマイクロニッコールの55mmF3.5。
写真は最後の以外はマイクロニッコールかな。
カメラを持った人はわんさかいたが、まあ今どき1000万画素そこそこの一眼レフなんか使ってるのはぼくくらいだった。
1番上はハギであるが、ハギというと
塩原に至るに谷崎君既にあり 門前の路地に萩しげりて 夜更けの露に袂の濡るる風情 今だに忘れず
永井荷風の断腸亭日乗、昭和17年3月の上野は志保原で谷崎潤一郎と面会した際の一節を彷彿とする。
夕陽の角度が深くなってきた。
遠くに運動部のかけ声が聞こえる。
ぼくは高校生くらいからアイビーが好きだった。
ブルーのオクスフォードシャツは、だいたいいつもクロゼットにある。
もう何十年もの間、ずっとだ。
大学生の頃なんかは毎日のように着ていたから、どんどんダメになる。襟や袖口が擦り切れてくるのだ。
ひどい時は半年でダメになった。
ブルーのオクスフォードに色のフェードしたリーバイス501。それにコンバースオールスターというのが、ぼくの大学生の頃の制服みたいなものだった。
そして今。
今でも着ているものはちっとも変わらない。
変わったのはサイズだけ。