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Ring-a-Ring-o' Roses (155回目)

Ai AF Zoom-Nikkor 35-70mm F2.8S

名前が長い。
サンゴーナナジューのニッパチ通しで意味は通じる。
まあメーカーにはメーカーの都合もあるんだろうから、そんなところに文句を言ったところで始まらないのであるが、正確な商品名を書こうと思うといちいち調べなくてはならない。

ニッパチ通しということは大三元である。
とはいえズームレンズの大口径というのは、まだあまりなかった時代の話。
発売は1987年だからニコンF4が出る前年、まだF3がフラッグシップの頃だ。
もっともF3はF6の時代になっても販売されていたが。

明るさは正義か

ズームレンズは色々と難題が多いらしい。
大口径と画角。それによる収差。
望遠のズームなら比較的設計しやすいらしいが、標準域のズームとなると、広角と望遠のどちらかにウエイトを置かざるを得ないらしく、その為にはどちらかの収差をいかに抑えていくかというのが設計の肝になるとのこと。

フィルムが大半であった時代は感度が上げられないという制約があった。
せいぜいISO6400。
しかも画は相当荒れるのを覚悟しなくてはならない。
実効感度がたぶんISO400くらいのフィルムを現像で増感して無理やり感度を出している感じのが多かった(土台のフィルムが丈夫だった)
そういった時代での大口径化は必然であったし、それで得られるものは「撮れなかったものが撮れるようになる」以上のものだ。
f/3.5でシャッタースピードが1/15とか1/8だったのが、f/2.8なら1/30が切れる。
手ぶれ補正などないから倍速のシャッタースピードは大幅に手ぶれを回避する可能性が上がる。
趣味で撮っているなら、ぼくみたいに写らないなら撮らなければいいなんてうそぶいていられるが、仕事となるとそんなことも言っていられない。
ましてフィルムは現像してみないと結果が分からないのだから。

あの頃は明るさが正義だったのだ。

Ai AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5

ウチには同じズーム域のレンズがもう一本ある。
Ai AF Zoom-NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5というやつだ。
もちろんレンズ構成も違うし描写も違う。
大口径でないぶんレンズ筐体もコンパクトで軽い。

どうだろう。
こちらは1986年発売で89年にマイナーチェンジしている。
まあ普及型のズームレンズで、発売当時はニコン初のAF機であったF501と併せて使われていたもの。
600万画素なら全然悪くない。

デジタル時代の大口径

撮影はD100で行なっているが、D100はISO1600くらいまでなら問題なく使える。
このレンズは広角端の開放がf/3.3なのでf/2.8からは絞り1段も違わない。
使い勝手だけを見れば、こちらの方が断然持ち出しやすいのだ。

フィルム時代の大口径は開放では何とも心許ない描写になるものが多かった。
それは先の記事のズミルックスも同様だ。
かなりクセがあってピントがどこにきているのか分からなくなってしまう。
描写がどうこうよりも、まず写っていることが大口径の意義だったからだ。

デジタルになって、その意義は変わった。
写っているのは当然として、その大口径ゆえのボケや、そのボケの美しさや自然さがテーマになった。
硝材も安価で高性能のものが増え、ぐっと軽くレンズ自体も安価になった。

ただ、それゆえか。

どのレンズも大した違いがなくなっていく。

ああ、なんと人とは欲深いのだろう。
そんなことを考えていたら今日はクリスマスイブだ。

メリークリスマス。
Atishoo! Atishoo!
We all fall down.

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