覚醒(162回目)
夜中に目を覚ます。
暗闇で目を覚ますと、自分が生きているのか死んでいるのかが分からなくて焦る。
これはあの日からだ。
あの日、心臓が止まって、ぼくは死の淵というのに立った。
その時からぼくは夜中に目を覚まし自分の生死を弄るようになった。
生きているのを確認すると、家族を起こさないように布団を抜け出して台所で水を飲む。
ちょうど10年前にも僕は2度目の入院をした。
心不全を告げられたとき、ああぼくはもうこれでおしまいなのだと思ったのと同時に
もう生死を確認しなくていい
そう思った。
どういうわけか、ぼくはまだ夜中に目を覚ましている。
暗闇で目を見開いて闇を見つめながら生きているのか死んでいるのかを確認している。