和製ズミクロン〜Fujica 35EE
仕方ないので借り物で。
このカメラは結構長く使っていた。
レンズがいいという話を聞いてモノを探したら意外とあっさり見つかった上にめちゃくちゃ安かった。
詳しくは下記リンクで(手抜き)
1961年の発売というから、昭和36年頃のカメラである。
「正しい電気露出計(セレンメーター)、超高速1/1000秒(レンズシャッターカメラとしては,世界初と言われる)、明るいファインダーを備えた」フジカ35SEの後継機として話題になったらしい。
4.5cmf/1.9の大口径レンズ、名前のとおりの自動露出(シャッター優先EE)が可能となり、背面のダイアルで二重像を合わせるレンジファインダーだ。
EE(AUTO)にセットするとシャッターボタンが飛び出してくる。
ぐいと押し込んでシャッターを切るのだが、ストロークが長いので手ブレが心配になる。
しかしEE時にはスローシャッターが切れない仕組みになっているので、余程のことがないと手ブレ写真を作ることはない。
他に完全なマニュアル露出での撮影も可能で、この場合はシャッターボタンも普通のストロークになる位置に戻る。
セレン電池による露出計なので、このカメラには電池は必要ない。
普通に露出計は作動しているので、ぼくはそのままEEで撮影していた。
ポジは入れたことがないが、ネガであれば露出に全く問題ない。
巻き上げのレバーが底面に付いていたり、巻き取りノブが真横にあったりとなかなかユニークなスタイルだ。
和製ズミクロン
和製ズミクロンと呼ばれるレンズはいくつかあったように思う。
ライカへのコンプレックス丸出しであまり好ましく思えないがXR-RIKENON 50mm f/2.0や、このカメラに付いているFUJINON 45mm f/1.9もそうだ。
Summicron 50㎜ f:2.0 と比べて f:5.6に絞った時の中心部最高画質は上回っているデータがある。
カメラ雑誌お得意の画質をスコアにしたもので、
50㎜f:2.0位のレンズを精密機器で測定したものらしい。
本家ズミクロン 50㎜ f:2.0 (変形ガウス 6群7枚)FUJINON 45㎜ f:1.9(ガウス 4群6枚)XR-RIKENON 50㎜ f:2.0(変形ガウス 5群6枚)この3本のデータが
解像力
1959年 Summicron 50㎜ f:2.0
開放時: 中心最高 280 画面平均 181
f:5.6: 中心最高 250 画面平均 180
1959年 FUJINON 45㎜ f:1.9
開放時: 中心最高 280 画面平均 115
f:5.6: 中心最高 280 画面平均 154
1978年 XR-RIKENON 50㎜ f:2.0(富岡製)
開放時: 中心最高 180 画面平均 119
f:5.6: 中心最高 200 画面平均 156
とのことだけど画面平均となると敵わないし、限られた条件下での中心部最高の解像力の話なので、まぁとにかくライカに追いつけ追い越せで、なんとしてでも、たとえ限定的であったにしてもズミクロンを上回ったというのは当時のカメラファンにはさぞ朗報であったに違いない。
でもまぁ、写真なんてのは解像度だけで語れるものではないから、たしかによく写る印象はあるけれど(だからどうしたの?)みたいな感想しかないのは、きっとぼくが凡庸の極みみたいなものだからだろう。
安かったから買ったに過ぎないっていうのは、なんとも宝の持ち腐れというか、豚に真珠というか...。