いか八朗さんの思い出
2009年にグループ展をやった時に展示した1枚。
なので撮影したのは正確に覚えていないが、それよりも1〜2年前だ。
この人はいか八朗さんという。
名古屋にいるころは大須商店街がぼくのホームグラウンドで、毎日のように出向いては写真を撮って歩いた。
そんな時に声をかけて来たのが「いか八朗」さんだった。
失礼ながらまったく彼の人となりを知らなかったので酔っ払いのちっさいおっさんに絡まれたという認識だった。
ぼくもちっさいおっさんだが、彼は輪をかけてちっさかった。
「にいちゃん写真撮る人なの?」
「モリヤマダイドーって知ってる?」
「オレあの人に撮ってもらったことあるんだよ」
「撮るのがめちゃくちゃ早いんだよ、あの人」
なにわけのわかんないこと言ってんだかなァと思いつつ、饒舌に捲し立てる「いか」さんの雰囲気に呑まれつつあった。
「オレ大須演芸場に出てるんだよ」
「見においでよ、オレ呼んでくれたらタダにするからさ」
赤ら顔だったが酒の匂いはしない。
酔っ払いではないのだ。
そうか芸人さんなのか。
だから面白いんだな。
その時である。
「あ」
と言うや否や入れ歯がパコっと外れたのである。
マンガやコントでは見たことがあるが、実際目の前で起きるとは思わなかった。
ぼくは爆笑してしまい、その後の話は全然入って来なかった。
今日はこれから仕事あるから、とお誘いを断り、写真を撮らせてもらって別れた。
彼の詳細を知るのは、その後になる。
wikiによると2018年に亡くなったとのこと。
テルマエ・ロマエに出演したのは、この出来事の後の話。