Flexaret Ⅶ 〜ビロード革命前夜
チェコスロバキア
ご存知と思うがチェコスロバキアは数奇な運命を辿った国である。
革命以後、現在はチェコ、スロバキア、ウクライナに分離したが、古代から中世、近世に渡り、戦争や革命に翻弄され続けた歴史がある。
このフレクサレットというカメラは旧チェコスロバキアのカメラメーカーであるメオプタ社で作られていた二眼レフで、ドイツのそれとも違う独特な操作性を持つカメラである。
戦前よりチェコスロバキアというのは世界有数の産業国であって、メオプタ社の前身であるオプティコテクナも高精度な技術を持った会社であった。
しかしソ連の影響下となり共産主義国家となるとメオプタは国営化され自由な開発・製造ができなくなる。
その後の度重なる政変や革命を経て現在は民営化されているが、カメラ事業からは撤退している。
フレクサレット
ぼくが使っていたフレクサレットはⅦ型とされるものでシリーズの最終モデルである。
実質的にはⅥ型のマイナーチェンジ版とされていて、Ⅵ型で実装された巻き上げと連動したシャッターのセルフコッキングなど、機能的にはさほど違いがないのだけど、60年代後半に誕生したⅦ型はⅥ型に比べて壊れやすいとされている。
これには国内情勢が色濃く影響しており、1968年の「プラハの春」以降は特に状態が悪いという。
ぼくのはたまたま運がよかったようで、使っている間には大したトラブルもなかったし、645サイズで撮影できるマスクも付いてきた。
レンズが曇っていて、逆光だと盛大にハレーションが起きた。
しかしカメラ自体はよくできていて、ローライフレックスよりも、ぼくはリズムよく撮影ができた。
使っていたのは2010年頃。
なにかと落ち着かない日々だったなァ...。