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残すべきものと残るもの
これは2015年に書いたもの。
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久しぶりに赤線跡を歩いてみた。
ここは名古屋市北区の「城東園」である。
まだ辛うじて残っているが、建物の老朽化からか建て替えが進んでいて、どんんどんなくなっている。
前回訪ねたのは1年くらい前だが、その時から比べても何軒も建て替えられていた。
もっと心配だったのが、港区の「港陽園」跡地にある「かもめアパート」
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この見事な豆タイルの細工を見よ!てな具合である。
ここも建物の痛み具合が激しいが、平成27年現在、何とか生き残っている。
住人もいらっしゃるようだから、まだしばらくは大丈夫なのだろう。
これらはネガティブな歴史の遺構かも知れないが、紛れもなく戦前・戦後を通じての近代史の一部であり、単にひとつの建築物として見ても、かなり手の込んだ職人技が見て取れる貴重な資料でもある。
しかし行政が維持に関して助成するわけでもなく、あくまで所有者個人に管理を任せるのであれば、所有者で存続を決めても、これは誰も文句を言える筋合いはない。
せめて。
せめて、そこにあった記憶を写真にとどめておくのである。