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父の面影とハムカツ(396回目)

「残りものどうにかしないとねプロジェクト」発動。
まあ誰に食わせるでもなし、家人から文句がなければそれでよし。

晩飯はハムカツと豚とほうれん草のからし和え。
ハムカツは外で食うとそこそこ厚めのハムで出てくるが、昔ながらの定食屋なんかだとペラッペラのハムで出てくることがある。
ぼくはそっちのが好みだ。
なんで?と聞かれると困るが、分厚いのは別にカツでなくても、というかカツじゃない方がいい。

もうずいぶん昔の話だが、父とふたりで飲みに行ったことがあった。
今になって後悔していることだが、存命のうちにあまり父と外で飲んだりしたことがなかった。
家族で出かけて、となると、ぼくが運転していたりするので本当に数えるほどだ。
なんの話をしたかとかは忘れてしまったのだけど、ぼくはハムカツを頼んだのを覚えている。
父は刺身の盛り合わせなんかだった。
いつもほとんど食わないで飲む父に、少しはなにかつまんだほうがいいと言ったのは覚えている。

あまり話らしい話はなかったと思う。
だいたいそんなに話すこと自体ないのだ。
歩いて行けるところだったので、遅い春の夜道をぶらぶら歩いて帰った。

あいつは結構飲むんだな、と言っていたらしい。
その頃の父の年齢になった今、ハムカツを食いながら、そんなことを思い出している。

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