
ブルー(202回目)

その日は冷たい雨が降っていた。
ぼくは足の指先が悴んでいて、彼女は肩まで伸ばした髪が濡れるのを気にしていた。
ぼくらは高校生で放課後のデートは店に入るでもなく、公園や地下鉄のホームのベンチで他愛のない話したり、目的もなく「ただ」歩いたりするのがそれだった。

冷たい雨はお互いを無口にさせて、押し黙ったまま長い坂道を登り続けた。
気象台のある坂道の上に辿り着いてぼくは、後を歩いていた彼女を振り返った。
彼女は赤い傘を持ったまま、少し悪そうな顔をして微笑んだ。

冬の街は彼女の後ろで淡いブルーに沈んで滲んだ。