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『星の王子さま』から浮気について考える.

『星の王子さま』を初めて読んだのは小学5年生の頃.
文章理解力が拙かったのにも関わらず,色々と学びがある作品だと感銘を受けた覚えがある.
先日,この作品をもう一度読み直したが,子供に理解しやすい表現で作者の人生観がふんだんにこもっており,子供向けの小説としてもの凄く良くできている.
「権力」「名声」「現実逃避」「金」「重労働」に対して皮肉を込めた上で,子供心を忘れてはいけないというメッセージがファンタジーな世界観の中で描写されている.
また本作は最も「愛」の価値観にもフォーカスが当てられているといっても過言ではない.
特に小学校時代に愛をテーマにした小説を読んでこなかった私にとって新鮮だった覚えがある.

今までの学生生活でいわゆる浮気を3件見てきたが,いずれも見なかったことにしてきた.
また,今現在タイムリーに友人の現場を目の当たりにしている.
自分でもこの行動が正しいのか間違っているのか分かっていないが,折角,愛に関する小説を久しぶりに読んだので自分なりの答えを出そうと思う.


・愛とは飼いならして生まれる.

あんたの目から見ると,おれは,十万ものキツネと同じなんだ.だけど,あんたが,俺を飼いならすと俺たちはもう,お互いに,離れちゃいられなくなるよ.あんたは,俺にとって,この世でたった一人の人になるし,俺はあんたにとって,かけがいのないものになるんだよ…

『星の王子さま』より

王子さまがキツネと遊ぼうとした際に,飼いならされないといけないと言われてしまう.
かけがいのないもの=愛情,友情を育むのには飼いならされないと述べている.

辛抱強くならなきゃいけない.初めはぼくからちょっとだけ離れて,こんなふうに草の中に座るんだ.ぼくは横目で君をちらっと見るんだけど,君は何も言わない.言葉っていうのは,誤解の元だからね.でも,毎日少しずつ近くに座るようにするんだ.

『星の王子さま』より

君のバラがとても大切なものになったのは,君がバラのために時間を費やしたからだ.

『星の王子さま』より

心で見なくちゃ,物事はよく見えないってことさ.肝心なことは,目に見えないんだよ.

『星の王子さま』より


「飼いならされる」のに必要なものは一緒にいる時間であると述べている.
言葉は愛情,友情を育むものでは無く,逆に阻害するものにもなりうるということを述べている.
王子さまはバラのわがままな命令(言葉)や仕草などにうんざりして星を飛び出した.
ただ,バラのわがまま,つまり言葉は王子さまに誤解を与えている.
一見,バラのわがままに見えるが,本当はバラが王子さまに献身的な愛を見せて欲しかったのである.
これが物事の外面性と目に見えない内面性である.
わがままを言われ,そのわがままに答えるという献身的な愛に掛けた時間こそが愛情を育んでいったのである.

・作者の人生.

『星の王子さま』は本の世界発行数ランキング7位と名著だが,作者であるサン=テグジュペリの生い立ちについてパイロットであった程度しか知られていない.
バラはサン=テグジュペリの妻であるコンスエロがモチーフであるとされている.
こんなにも素敵な友情,愛情に関する小説を生み出しており,バラが妻のモチーフであることを踏まえると素敵な夫婦生活を送っていると思いきや,豪快な不倫をしていたらしい.
妻は毒妻として他の書籍で紹介されている.
このバックグラウンドも私が本作が好きな理由でもある.
恐らく,こんなにも美しい文章(言葉),ロマンティックな思考つまり,外面性が多くの人にとって魅力的に見えたのだろう.
そして,外面性に惹かれてきた女性とサン=テグジュペリが不倫をしたと考える.
また,夫婦互いに内面を知ることが出来なかった,費やした時間が短かったからこのような関係になったのだろう.
結局,大抵の人は外面的な部分を見れないのである.
サン=テグジュペリの人生が『星の王子さま』の教えを皮肉っているようで面白いと感じた.

・まとめ.

結局,多くの人は人を外面からしか見れないのである.
富や名声などといった肩書きや外見,会話で発せられた言葉など直接的な行為に対する行動でその人を評価している.
その結果,「友情」や「愛情」などが生まれる.
だからこそ,よっ友や不倫が生まれるのではないだろうか.
人々に欠けているものは,時間内面を見る目である.
時間を共にしていく中で,さりげない行動を振り返ってみると,そこに本当に大切なものが見えてくる.

身の周りに浮気をしている人を何人か見てきたが,今思い返してみると全員,出会って3か月とかそこらで関係が始まっている.
結局,相手の内面を見る時間が不足しており,その間に出会った人の外面に惹かれ,浮気をするのではないのだろうか.
どのみち私の一声で浮気は止められない.
友人の内面を私の言葉で変えられないのだから.

・最後に.

引用で用いた言葉は全て"キツネ"の発言である.
本作で登場するキツネは賢く,愛嬌があり,王子さまとバラの双方向の愛情を気づかせるような重要人物である.
もちろん,初めて本作を読んだ私も大好きな登場人物であった.

小学校の授業で隣の人を動物に例える授業があった.
隣に座っていた女の子は賢くて,思いやり深く,足が速かったのでキツネに似ていると伝えた.
当時,ごんぎつねと星の王子さまを読んだ私にとってはキツネは誉め言葉のつもりだったが,泣かせてしまったのを覚えている.
周りの生徒が,どうぶつの森に出てくる詐欺師でおなじみのツネ吉や妖怪ウォッチで出てくる悪役妖狐などの悪キャラの名前を出してバカにし始めたからである.
もちろん,きつねと最初に言った私も怒られ,反省した記憶がある.

今考えてみると,ディズニーのピノキオやズートピアでも悪役で登場するし,狡猾で人を騙すイメージがあるので悪印象を持つ.
調べてみると,中国で伝説として語りつがれてきた妖怪”玉藻前”から人を騙し,化けるというイメージが根付いたらしい.

ただ,この動物園の写真を見る限り,人を騙したり,化けたりしない.
間違えなく,正しいキツネの描写の仕方はごんぎつねや星の王子さま,ズートピアの終盤のニックである.
好きな動物を聞かれたらこれからは猫とキツネと答えようと思う.
後,卒業までに宮城蔵王キツネ村に行く.


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