イタリア ベネチアンガラス 買付記録
今から数年前のある日。私は思ました。
このビーズって本当にイタリアで作られているのかな?
どこで誰が作っているかもわからないものを堂々と
お客さんに売るって、果たしていいんだろうか。
ベネチアンガラスビーズについて
イタリアのベネチアンガラスビーズは、
某大手モールでも堂々と偽物が販売されているくらい
見分けが難しいもの。
当然ガラス玉に刻印もなきゃこれといった証拠が
ついているわけでもありません。
もちろん当時毎月1000個単位のビーズを触って、検品していたので
私の手は、偽物と本物の区別がつくようになっていました。
しかしこれを人に説明するのは難しい。
特に私は、言葉で何かを説明することが当時とても苦手でした。
私は思い立ちました。イタリアへ行こう。
この目で作る場所をみて、記憶を記録し、そして広めよう。
思い立ったら即チケットを予約し、当時はじめて使った
ブッキング・ドットコムでホテルを検索していました。
寒い冬の日、イタリアへ。しかし悲劇が待ち受ける
イタリアへ到着後、まずミラノの展示会へ行こうと思いました。
そのため第一目的地はミラノです。
ミラノ空港からタクシーでとりあえずホテルへ向かいます。当時
仕事を手伝いしていた人と一緒にイタリアへ行ったのですが
私は途中から意識が朦朧として、どのようにタクシーを降りて
ホテルの部屋に入ったのか・・全く記憶がありません。
翌日、ミラノ市内のホテルへ移動します。
その当時私は40度近い熱が出ていました。ホテルへ戻ると
意識がほぼなくなりました。
通訳の女性にガイドをお願いしており、朦朧とした意識で熱がある旨を
伝えたところガイドの女性が薬を買ってきて下さり(座薬みたいなでかい飲み薬・・今思うと座薬だったのかもしれません笑)薬を飲み、熱を下げました。
3日間、熱にうなされなんとか回復。心から梅干しと味噌汁とお粥が
ほしいと思った日でした。
ようやく動けるようになった体で、翌日ミラノの展示会へ行くことができました。(その後日本に帰ってから半年以上体調がおかしく、新種のウィルスにでも感染したのかもしれない。と周りの人に言っていました)
展示会を周り、ベネチアへ移動をしました。
ベネチアに到着 想像以上にディズニーシーだった
電車で2時間半くらいでしょうか。ついにベネチアに到着します。
駅を出ると、そこはもう。海。
おーディズニー・シーみたいだ!!が第一声でした。
1日目はまず島を散策し、どのようなベネチアンガラスが売られているのか
街をくまなくチェックしました。
感じたことは、土産屋さんは、これはほんとうにイタリアで作ってるのか?
と思われるような粗悪な物が多い一方、すごい一品も売っている店も
あると・・色々混ざり込んでいるなあと思いました。
2日目。私達は、水上バス(船)に乗り込み、ある場所を目指します。
ガラスの島 ムラーノ島へ
バス(船)で40分ほどでしょうか。小さな島が見えてきました。
また私は ゲームみたい!ファイヤーエンブレムぽい!と叫びました。
つくづく例えが乏しい自分の語彙力が恥ずかしい限りです。
というのは、ベネチアには色々な島があり、島ごとに
レースの島・お墓の島・ガラスの島 などと 島の名産物が
あるからです。
これは、昔技術をもった職人たちを島から出れないようにして
技術を守った・という歴史があるからと思われます。
そのため、代々世襲制でガラス工房も受け継がれている場合がほとんどです。
今回は3つの工房に行くことにしました。
1つ目が ラ・ペルナ ヴェネチアーナ
2つ目が トマージ
3つ目が エッセ ドゥエ
という工房です。
1つ目の工房は、NHKの恋する雑貨でも取り上げられたことがある工房で
女性が心ときめくお花柄のビーズを作っています。
ここだけの話・・お姉さんが職人さん、妹がセールス担当というべきでしょうか。今までの人生で会った中で3番目くらいに強烈キャラでした笑
2つ目がトマージ
トマージはガラスの置物などが有名なメーカーです。
男性的なダイナミックさを持った色使いが
得意なメーカーです。
余談ですが
私のように毎月1000個くらいビーズを触っていると
このビーズは男性がつくったか、女性がつくったか。
までわかるようになってきます。
我ながら、なんて無駄な才能だろうと思います。未だに
その才能が生かされる場所がありません。
3つ目がエッセドゥエ
こちらは本当に高級ビーズというべきでしょうか。
高い透明度、ガラスの精に取り込まれてしまいそうな
ガラスの中にもう一つの世界を感じるビーズです。
指でつまめるくらいのビーズなのにこの世界観。
すばらしい限りです。
ちなみに、職人さんはとても寡黙だけど
素敵な方でした。
冬場でも工房の中は暑いので、半袖です。
工房では見学をさせてもらい、いろいろな話を伺い
買付もし、買付できない分は注文をし帰ってきました。
ベネチアンビーズの魅力について・・思うこと
私は、世界中にある伝統工芸は消してはいけないと思っています。
もちろん淘汰されるのは自然の摂理かもしれません。
でも、値段が高いから?こっちのほうが安いから?
このような理由で ストーリーと歴史があるものが消されてしまう。
このような社会にすら疑問を抱くのです。
物のその背景にある、人、歴史、想い。
このようなことを知っても、消えていくのは自然の摂理と言えるのでしょうか。物の背景を伝えていくこと、歴史をみて、未来をみていくこと。
伝統のモノにはそのようなメッセージが込められていると感じています。
私は今も昔も、アトリエトコという店をとおして
作りての想いをモノに乗せて発信をし、
さらに、アイテムを使う人が誰かにストーリーも話したくなるような
アイテムを仕入れて販売していくことを考えていました。
しばらく休業していた 当店のベネチアンガラスビーズ ですが
また少しずつ復活し、刻まれた歴史とメッセージをいろいろな
方にお届けしていけるようにしていきます。
またこのシリーズは続けるつもりです。
ぜひご覧いただけると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?