真性S女 アトリエ・エス と行く万葉のたび
第三十八回 風光の吉野篇
大和には 鳴きてか来らむ 呼子鳥 象(きさ)の中山 呼びぞ超ゆなる
ここらで、万葉における吉野につき言及しておきましょう。
吉野に行幸した天皇といえば伝説時代を除けば、斉明天皇、そして離宮が出来た天武・持統以降は歴代ということになりますか。
申し上げましたように、万葉には花の吉野は一首も出てこない、出てくるのは全て風光の吉野、山川の吉野です。
さて、標記、巻一-七〇、高市連黒人の歌。
またしても、カッコウが出てきますか。吉野はちょうど渡り鳥の通り道です。
象の中山とは、吉野町喜佐谷の西側の山で、喜佐谷と御園のあいだにあるから中山というのでしょう。
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