真性S女 アトリエ・エス と行く万葉のたび
第二十二回 大宰府にて都志向
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天ざかる 鄙に五年 住ひつつ 都の風習 忘れえにけり
巻五.八八〇、山上憶良。
そうです、あれ。前に取り上げた大伴旅人の、都へ帰る折の送別の歌です。
うん、読みを付けたほうが良いでしょう。
あまざかる ひなにいつとせ すまいつつ みやこのならい わすらえにけり
敢えて私の壊(おもひ)を布(の)ぶる歌、ってことで憶良が本音のドロを吐いてるわけですが。
どうです?
私は、どうも、ぴんとは来ません。
なんかこれは、望郷の念よりも都志向が色濃くかんじられます。
都は人をひき付ける魔力がある、そして人を堕落させる。
色々な場所で再三にわたって述べてるこれは、童門冬二さんの説です。
ま、ハゲ同なもので繰り返してるわけですが。
そして、その傾向は万国共通のようです。
前にお話した喜歌劇『天国と地獄』。
オリムポスの神々を茶化したこの作品は、実は堕落しきった19世紀パリ社交界を風刺してるのです。
画像は足好きさんへのサービス、憶良のこれではない、本格的な送別の歌はいずれお話しするであろうとも思います。
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