6次産業、成功の分岐点#052
皆様こんにちは。
佐伯です。
寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか?
富山県ではついに今週末から雪が降ると予報が出ていました。
いつ降るかドキドキしながら頻繁に窓の外を見るのはある意味冬ならではの行動かと思います。
さて、今回は農業もひと段落し多くの農家様は閑散期に入るかと思います。
しかし、現代では以前のように安くて美味しい野菜をたくさん作れば良いという訳ではありません。
現代の農家様が生き残るための方法が2つあるかと私は考えます。
1つ目は有名なレストランのシェフに直接営業し、シェフの要望に応えた専門性と希少性の高い高付加価値の野菜を育てること。
2つ目は育てた野菜を使用し、加工品の製造から販売までを一手に行う6次産業というものです。
今回は2つの内、6次産業について焦点を当てて掘り下げたいと思います。
先に結論から申しますと6次産業の方が難易度が高いと思います。
その理由を説明したいと思います。
①6次産業とは
6次産業化とは、農林水産業(第一次産業)の産出物を加工(第二次産業)し、それを直接販売したり観光などのサービス(第三次産業)と組み合わせることで、高付加価値を生み出す産業構造のことを指します。この取り組みは、地方活性化や農林水産業の振興に大きな役割を果たしています。
以下の5つの点が6次産業化の主な特徴と効果と言われています。
高付加価値の創出:
地域特有の農林水産物を加工し、オリジナル商品を開発することで、製品の付加価値を高める。
例:特産の果物を使ったジャムやワインの製造。
直売所や観光との連携:
農産物の直売所や、農場体験、農業体験ツアーなど、消費者との直接的な接点を持つ。
地元の食材を生かしたレストランやカフェの運営。
地域ブランドの構築:
地域の特色を活かした商品やサービスにより、その地域のブランドイメージを強化。
例:ある地方の特産品を使ったお菓子や飲料の製造と販売。
雇用の創出と地域経済の活性化:
加工や販売、観光など多様な分野での雇用機会の創出。
地域住民や移住者への新たな就労機会の提供。
持続可能な地域社会の形成:
地域資源の有効活用により、持続可能な経済サイクルを形成。
環境に配慮した農林水産業の推進。
②6次産業の問題点
私が考えるに1つの事業に何やら思いを詰め込みすぎて方向性を定めることが非常に難しいという点です。
私も事業を行っているので分かりますが、余程大規模な組織でない限り思いや理念を積み上げ過ぎると結局何がしたいのかがわからなくなります。
恐らく6次産業を志す方や実際に携わっている方の所属する組織はそこまで大きくないかと思います。
場合によってはご本人1人だけなども往々にしてありえます。
つまり人員が少ないので小さく始めて徐々に大きくすれば良いのです。
初めは自分の作ったジャムを「月に100個売る」などの頑張ればクリアできる目標を1つ1つ設定しては達成することが肝要です。
あくまでもビジネスなのです。行政が関わることが多いので地域活性化などと初めから目標に入ることがありますがそれは間違いです。
ハードルが高過ぎます。
今まで農業しかしたことがない農家様に対し、商売をしたことが無い行政の方が「商売を通じて地域活性化しましょう!」なんて話は無理筋なのです。
まずは手堅く売上を作り、利益を得て、それから考えれば良いのです。
③成功事例を完コピする失敗事業
こちらは6次産業に成功した方が総理大臣賞を受賞したという記事です。
恐らく、本当に知恵を絞って失敗を恐れずチャレンジした結果が実を結んだのでしょう。
農家様というようりは凄腕の経営者と言った方が正確かもしれません。
ですが、多くの行政の農業振興担当者や6次産業をやってみたいと考えている農家様が視察に行きたいと考えるでしょう。
そして、事業を完コピすれば自分も2匹目のドジョウを得られると考えます。
しかし世の中はそんなに甘くありません。
記事の成功例はきちんと市場と対話し、販路を広げて売る努力をしたから成功したのです。
この部分をすっ飛ばして、似たような商品やレストランを作ったところで確実に失敗します。
なぜなら、地域で熱心に営業し、どんな製品が皆が欲しがっているのかを調べ、慎重に開発とテストを繰り返し、その結果当たって、その事実が口コミを通じて全国に広がる仕組みを理解していないからです。
つまりマーケティングをしていないから失敗するのです。
これが良くある失敗例なのです。
「食べてみれば美味しいのに・・・」
とよくおっしゃりますが、お客様の口元までその商品をお届けすることが6次産業では最も難しいのです。
これは6次産業だけでなく中小の食品メーカー様でも良く起こる事例です。
蛇足ですが私の仕事は、この「食べれば美味しい」と「その商品をよく知らない」お客様を繋げることなのです。
④成功するには
徹底してお客様の要望を探ることです。
そして、欲しいと思って下さったお客様をスムーズにレジ(ECサイト)まで誘導する動線の構築です。
これが無くしては、どれだけ良い商品を作っても売れません。
人は事実では無く、印象で判断します。
「見た目は無骨だが、美味しい」は総合的には今ひとつなのです。
「見た目も良くて、美味しい」でないと売れないと私は考えます。
この記事をお読みになって下さった皆様のビジネスが上手くいくことを心より願っております。
それでは皆様、ご機嫌よう。
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