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歌うひとのための「みそさざい(La capinera)」

曲:J. Benedict 詞:F. Rizzelli

対訳

Col ritornar del dolce april
心地よい四月が巡ってくれば
Tu torni pur, o mia gentil,
戻ってくるね ああ、いとしいきみ
E vieni a dir la tua canzon
そして歌を聴かせにくる
Fra i vaghi fior del mio veron.
バルコニーの美しい花に囲まれて

Tua voce un tal piacer mi fà
きみの声に私は嬉しくなる
Che di cantar desio mi dà
歌い出したくなるほどに
Cantiam insieme, mi guida tu,
ともに歌おう、導いておくれ
Cantiam l'amor, la gioventù.
歌おう 愛を、青春を

Salutan te l'erbe ed i fior
草花はきみに挨拶する、
In quell'arcano linguaggio lor,
神秘的な言葉を使って
Del venticel il mormorar
そよ風のささやきは
Un bacio sol cercar ti par.
まるできみの口づけだけを求めているみたいだね

E mentre il cor vicin a te
心がきみに寄り添って
D'un gaudio ho pien ch'uman non è
人智を超えた喜びに満ちているとき
Io vuò cantar, mi guida tu,
歌いたいんだ、導いておくれ
Cantiam l'amore, la gioventù.
歌おう 愛を、青春を

歌詞について

春を迎える喜びを、小鳥のさえずりに託した歌。
題名の「La capinera」はシジュウカラと訳されることもある。狭義にはズグロムシクイ(頭黒虫喰、Blackcap)を指す。以下の動画で実際の鳴き声を聴ける。

 *

全体的に「弱強」のアクセントで、英詩にみられる弱強四歩格(Iambic tetrameter)とよく似たリズムである。

Col / ri/tor/nar || del / dol/ce ap/ril
Tu / tor/ni / pur, || o / mia / gen/til,
E / vie/ni a / dir || la / tua / can/zon
Fra i / va/ghi / fior || del / mio / ve/ron.

(「/」は音節の切れ目、「||」は句切れ。太字はアクセントの位置)

音節数だけを見れば字足らずの九音節詩行のようだが、九音節詩行が弱強アクセントになることは基本的にない。
アクセントから考えて「半行それぞれが字足らずの、二重五音節詩行」と取るのが妥当だろう。

 *

倒置が多く、文構造を取りにくい。
第4連の1行目と2行目は以下のように解釈したが、自信がない。誤りにお気付きの方は、コメント等でご指摘いただけると嬉しい。

E mentre ho il core vicino a te pieno d'un gaudio che non è umano
きみに寄り添い、人ならざる喜びに満たされた心を(私が)持っている間は

なお、2行目の「pien」を「più」としている楽譜もある。
この場合は以下のように解釈できる(が、これも自信がない)。

E mentre ho il core più vicino a te d'un gaudio che non è umano
人ならざる喜びよりもなお、きみに近い心を持っている間は

※アイキャッチ画像はFlickrよりお借りしました(CC BY-SA 2.0)

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TJ
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