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歌うひとのための「そばにいることは(Star vicino)」

曲:L. Mancia/詞:M. Noris(?)

対訳

Star vicino al bell'idol che s'ama,
愛する美しい憧れのひとの傍にいる
È il più vago diletto d'amor!
それは最も素敵な恋の喜び

Star lontan da colei che si brama,
求めてやまない女性から遠く離れている
È d'amor il più mesto dolor!
それは最も悲痛な恋の苦しみ

歌詞について

長らくSalvator Rosaの作とされてきた歌曲。
しかしMurata(1999)によれば、Rosaがそもそも作曲家ではなかったことと、本曲がLuigi Mancia作曲・Matteo Noris脚本による1696年の歌劇『幼き王Il re infante』のアリアを元にしていることが近年になって判明した。

また中巻(2002)によれば、本来はA-B-A形式のダ・カーポ・アリアだったものがA-A形式の有節歌曲に変わっており、したがって第二連の詞は元になったアリアに存在せず、19世紀に書き足されたものだという。
以上から、中巻はこの曲を「マンチャのアリアを編曲したというよりは、むしろ、その一部を素材をとして新たに作曲された、19世紀の歌曲と考える方が適当である」(前掲論文)と指摘している。

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詞はすべて十音節詩行で書かれている。
十音節詩行は弱弱強のアクセントをもち、三拍子のメロディと良く調和している。

Star / vi/ci/no al / bel/l'i/dol / che / s'a/ma,
È il / più / va/go / di/let/to / d'a/mor!

オリジナルの第一連は親密の喜び、補作された第二連は離別の悲しみを歌っており、対照的な内容。
メロディは同一だが、変化をつけて歌うことが求められる。

参考文献:
Murata, Margaret(1999), "Dr Burney Bought a Music Book... ”, The Journal of Musicology vol.17 no.1 pp.76-111
中巻寛子(2002)「『イタリア古典歌曲』研究序論」愛知県立芸術大学紀要(32)pp.17-26

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