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8月の俳句だけまとめ

・マンゴーの香りだけ籠に居座る

・泣き声の文字化けじみて熱帯夜

・小判草猫のいさうな路地ばかり

・ひまわりの寝息ほとりと落ちて夜

・八月の天使はユニクロを着ている

・若楓しらふだからまつすぐ歩く

・紺青のいつか花野の花となる

・ドーナツの角ひとつなく秋日和

・桃の香の桃の実よりも巨なるかな

・アリバイは崩され日傘だけが白い

・隠し持つ赤いプラムと企みと

・証拠品拾うハンカチの純白

・「朝焼けを絞つてできたワインです」

・向日葵とフレンチトーストはきょうだい

・風眠る夏期講習の窓の外

・読点を置いて金魚の息丸し

・蝮にもわれにも脱皮前と後

・燕の子わらう歯医者の麻酔嗅ぐ

・絵のような遺影だ日傘をたたみ過ぐ

・ネーブルの香りもたんと皿に盛る

・小鳥きてリセットボタンがないゲーム

・炎天や鋭く鳴るだれかの電話

・働いてなくたつて朝顔はきれい

・つま先をそろえて立てり茄子の馬

・月曜の眠気どこまで鰯雲

・新しい歯ブラシ新しい月夜

・園庭の鶏頭年長者のかおで

・ごましおおにぎりと朝日だけのテーブル

・耳打ちに寝た振りをする野菊かな

・林檎食むずつと女の子でいたい

・精密な手書きの楽譜実むらさき

・みずいろの花火が夜にほどけては


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