(初めての人事労務)健康保険の任意継続被保険者とは?
会社などを退職して健康保険の被保険者資格を失ったときは、一定の条件のもとに個人の希望により被保険者として継続することができます。
これにより加入した被保険者を任意継続被保険者といいます。
◇任意継続被保険者になるための要件
1.資格喪失日の前日までに、継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること。
2.資格喪失日から20日以内に被保険者になるための届出をすること。
保険料を正当な理由なく納付期日までに納められない場合は納付期日の翌日で被保険者資格を喪失します。
(初回分の保険料が正当な理由なく納付期限までに納付されないときは、被保険者資格が取り消しとなります)
◇任意継続被保険者の加入期間
任意継続の加入期間は、任意継続被保険者となってから最長2年です。
ただし、以下の理由に該当したときは、2年を経過する前であっても任意継続被保険者の資格を喪失します。
1.保険料を納付期日までに納付しなかったとき。(納付期日の翌日)
2.就職して、健康保険、船員保険、共済組合等の被保険者資格を取得したとき。(被保険者資格を取得した日)
3.後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき。(被保険者資格を取得した日)
4.任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき。(申出が受理された日の属する月の翌月1日)
5.被保険者が死亡したとき。(死亡した日の翌日)
◇保険料の額
保険料は退職時の標準報酬月額×都道府県ごとの保険料率となります。
(40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者に該当する方については、これに全国一律の介護保険料率が加わります)
ただし、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、標準報酬月額は30万円で計算します。
●保険料は次の場合を除き、2年間変わりません。
1.任意継続加入中に40歳になり介護保険第2号被保険者に該当した場合、または65歳になり介護保険第2号被保険者に該当しなくなった場合
2.健康保険料率や介護保険料率が変更された場合
3.標準報酬月額の上限が変更された場合
4.保険料の異なる都道府県へ転出した場合
◇保険料の前納
保険料の前納制度を利用して、保険料を事前に一括して納付すると、保険料が割引(年4%(複利現価法による))になります。
<前納できる期間>
●6ヶ月分の前納
4月分から9月分まで
10月分から翌年3月分まで
●12ヶ月分の前納
4月分から翌年3月分まで
●年度の途中で任意継続被保険者となった場合は、資格を取得した日の属する月の翌月分から9月分または3月分までを納めることができます。
◇任意継続被保険者の保険給付
任意継続被保険者である間は、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができますが、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されませんので、ご注意ください。
※資格喪失後の継続給付に該当する場合、任意継続被保険者となった後も引き続き傷病手当金・出産手当金を受けることができます。
◇任意継続被保険者資格喪失後の医療保険の加入について
任意継続被保険者となってから2年を経過した等により資格を喪失した後は、次のいずれかの医療保険制度等に加入するための手続きが必要です。
1.健康保険、船員保険、共済組合の被保険者となる場合・・・勤務先の事業主が手続きを行います。
2.家族の被扶養者となる場合・・・家族の勤務先の事業主が手続きを行います。
3.国民健康保険の被保険者となる場合・・・お住まいの市(区)町村役場の国民健康保険担当窓口において手続きをします。
4.後期高齢者医療の被保険者となる場合・・・75歳になる方については、手続きは不要です。65歳以上75歳未満の一定の障害のある方が加入しようとするときは、お住まいの市(区)町村へお問い合わせください。
【参考】全国健康保険協会|被保険者の資格