【講演記事】「アスリートサポートの現状と未来(Athlity第1回ウェビナー)」より栄養サポート⑤
2022年1月21日金曜日に第1回Athlityウェビナー「アスリートサポートの現状と未来」を開催しました。その時の内容を、今回は記事として再構成し、公開します。
第5回の今回は、障がい者競技のナショナルチームの栄養サポートを担当されている片岡さんに、大会本番の際の栄養サポートの取り組みについて話していただきました。
大会における食事摂取のアドバイス
体重測定、起床時の尿比重測定による脱水症状の評価、食事摂取状況の確認といったところは前回お話しした内容と同様になりますが、選手村での食事の摂り方に関するアドバイスの実施についてお話いたします。
東京大会では、選手に食事を提供するメインダイニングは24時間営業で1日に4万5000食が提供されており、日本食、洋食、アジア料理などの地域別の他、グルテンフリーやハラルなどあらゆる食文化に対応できるよう、常に700種類のメニューが準備されていました。
事前にどのようなメニューが提供されるかについて、こちらから情報発信を行っていましたが、広いメインダイニングで自分の好みのメニューを探すのは難しく、日を追う毎にメニューが固定されていく選手が多くいました。
その為、私自身が実際に食べたメニューの写真を、選んだコンセプトと共に情報提供し、
「このコーナーにはこんな食べやすいお肉がありました。」ですとか、
「この味付けはとても良かったです。」などの発信を毎日行っていました。
それに加えて、選手の食事を確認しながら摂取量を把握していました。
メニュー自体は素材そのものを活かしたプレーンな料理が基本になっており、選手が自分で好みの味にできるよう、多種類の調味料が準備されていました。
緊張や疲労などで食事量が低下する選手や、普段の合宿ではバランスよく整える意識ができているにも関わらず、緊張等により食事に対する意識が疎かになる選手もいたため、どのようなものなら食べやすいのか聞き取りを行い、不足している食品群や量に関するアドバイスを実施しました。
各選手における、合宿や普段の食事摂取量を日頃から把握できていたため、摂取量の不足がすぐにわかり、その場でのアドバイスにつなげることが出来ました。
またスタッフの協力もあり、体重測定や尿比重測定を大会期間中も通常通り実施していたことから、大会期間を通して選手のコンディションを維持することができました。
いかがでしたでしょうか?
今回が「アスリートサポートの現状と未来(Athlity第1回ウェビナー)」の栄養サポートに関する片岡さんの講演部分の最後でした。
今後も講演内容の記事化をしていきますので、ご愛読のほど、よろしくお願いします。
講演者紹介
片岡 沙織(かたおか さおり)
神奈川県立保健福祉大学 栄養学科 講師、公認スポーツ栄養士