初めて泣きながら帰った日。|4月29日〜5月5日
はじめに
アマホロ〜(平和〜)
今週は試合があったり、そのための準備やらで割と忙しく過ごしていました。
充実感に溢れています!
先週の日曜日にバス会社を通じた郵便配達ですが、何事もなく届けたい相手に届きました!笑
ルワンダへの信頼がまた一つ増えました(笑)
それでは、スタート!
4月29日|突然決まったルワマガナ群大会
カウンターパートから学校に来るよう、連絡がきた。
何事か?と思えば、明後日(水曜日)に試合が決まったとのこと。
いやいや、、、え?急すぎる。
ただ昨年度は開催されなかったディストリクト大会が開催されることに決まったのは大きな変化だと思う。
だって去年は開催されず、独断と偏見で東部県大会の出場者が決まったのだから。
日本でいえば、地区大会を行わずに、インターハイの関東大会の出場者が決まるようなもの。
というわけで、急遽出場者リストをまとめ、彼らの年齢を確認するためのナショナルIDや生徒証をチェック。
ない生徒に関しては、保護者に電話し、確認。
加えて、大会のタイムスケジュールをカウンターパートと共に作成した。
放課後になり、選手たちに、明後日試合があることを伝えると、
驚きでみんな一瞬固まっていた。
急遽、練習メニューも変更し、疲労を抜き、試合に備えることになった。
さて、明日はタレント発掘プロジェクトを実施している学校に行き、
大会があることを伝え、持ち物や待ち時間など、諸々を伝えに行く・・・。
4月30日|ついに幅跳びのピッチが!
朝からディストリクトのスポーツオフィサーとカウンターパートと共に、競技場で打ち合わせ。
大会会場は、活動先のグラウンド。
しかし、校長が変わってからというものグラウンド整備がおこなわれなくなってしまい、
グラウンドは草が生えまくっている。
前校長は毎週のようにグラウンドに来て、状況を確認して、必要に応じて人を雇い整備していた。
たまたまグラウンドに訪れた校長は、目の前の草ボーボーのグラウンドを見て、一言。
「これは陸上のトラック?笑、大変なことになっているね!」と(笑)
いやいや、もうだいぶ前からわかっていたよね?笑
さて、このグラウンドで大会は行えるのかという話が、大会前日に行われているこの状況。
スポーツオフィサーの一言で、全てが決まる。
がカウンターパートと共に、開催可能であることをごり押しして、なんとか理解してもらえた。
その後、草を抜くかどうかの話し合い。
グラウンドの草は1日では到底抜ききれない量。
働いてくれる人(学校が契約しているスタッフさんたち)へ支払う給与で20分ほど揉めた。
結局、草抜きはしないが、幅跳びのピッチのみ作っていただけることになった。
幅跳びのピッチは1年前、前校長の時からお願いしていた。
ようやく完成することになりそうだ。
その後は、タレント発掘対象校へ。
校長やスポーツ担当の先生に伝え、選抜した生徒たちを集めてもらい、
明日、大会が行われること、年齢確認の生徒証、ナショナルIDの確認、持ち物、時間などを伝える。
放課後は前日練習!
活動先の学校に戻ると幅跳びピッチが出来上がっていた。
生徒それぞれ疲労が違うので、自分で練習内容を決め、行ってもらった。
ジョギング、ストレッチで終える生徒もいれば、ランニングドリルや加速走を何本かしている生徒も。
自分で考え、動ける選手になった選手が増えたように思う。
5月1日|ルワマガナ郡大会!
朝6時。
まずは、グラウンドにラインを引く作業。
なぜ前日にしないのかといえば、雨がふれば消えてしまうからだ。
木クズを使って、ラインを引いていくのだが、これがまた大変なこと、大変なこと。
特にカーブが難しい。
日本のようなライン引きはないので手作業だ。
ルワンダでは、突然の大雨が深夜に降り始めることもあるため
前日準備はせず、当日の朝に準備する。
U13とU20の大会が同時で開催されたのだが、
近隣のプライマリースクールに通う才能あふれる子どもたちの走る姿を見れたのがとても嬉しかった。
私は、アライバルジャッジとして大会の運営に携わった。
簡単に言うと、順位を判断する役割。
ルワンダでは手動計測が一般的。
日本でトレーニングで使うようなストップウォッチで計測して、
人の目で、順位を判断する。
選手の様子を間近で見れるのはとても嬉しいが、
ウォーミングアップなど試合前にアドバイスできないのがもどかしかった。
指導中の生徒は、全ての種目で優勝することができた。
目指しているのは、全国大会で優勝して、東アフリカ大会に出場すること。
そのため、今回のディストリクト大会の位置付けは、タイムトライアルだ。
日曜日に控えている大会に向けて、とても良い刺激となった。
大会終了後は、カウンターパートをはじめ、運営に携わった人たちと飲み会!
最高に楽しかった!
5月2日|日本から靴が届いた!
ルワンダでスポーツアカデミーを開いている友人が、
研修に受けるために日本へ行っていた。
そのタイミングで、恋人がパッキングした荷物を受け取ってもらった。
大変ありがたい。
正直なところ、ルワンダの郵便は期待していないし、届くとは思っていないので、
こうして信頼している人から直接受け取れることはありがたいがすぎる。
日本から持ってきたランニングシューズは3つ。
1つは、選手にあげた。
私にはサイズが小さくて、サイスがぴったりな選手がいたから。
もう2つを交互で使い分けているのだが、
どちらもかかと部分が破れてしまったり、つまさき部分に小さな穴ができてしまったりしていた。
使えないことはないのだけど。
というわけで、日本で使用していたアシックスのお気に入りのランニングシューズを持ってきていただいた。
これがあれば、なんとか任期終了まで靴に困ることはなさそうだ。
5月3日|「行かないよ。」
日曜日の大会に向け、選手関連の手続きやらで奔走していた。
カウンターパートとやりとりをしている中で、
「僕は大会行かないよ。」と言われてしまった。
理由は、陸連のスタッフに、もう一つの大会審判を頼まれたからだ。
全国大会がかかった日曜日の大会。
来ない?
一瞬、理解できなかった。
なぜかと言うと、昨日、飲み会の時に
「行くか迷っているんだ。」と言っており、
私は「選手がベストパフォーマンスをするにはあなたの存在が必要だよ。と説得しており、
彼は納得して、「そうだよね。日曜日は行くよ。」と決断していたから。
それでもなんとか説得した。
夕方の練習に訪れ、いつも通り指導しているカウンターパート。
スタートの確認をして、長距離選手に関しては、スピードの刺激を入れるメニューにした。
練習後、選手に激励をする彼。
選手もモチベーションが高まっているように思った。
いい流れだ!
5月4日|最終調整と、U13の選手への指導
明日の大会に向けた最終調整。
調整は選手に任せ、大会に出場しない選手に対して、スプリント系のトレーニングを行った。
少しずつではあるが、動きづくりに変化があって、
例えば、手と足の連動性が高まっているとか。
こうした変化を見れることはとても大きなやりがいになっている。
その後は、U13の選手に対して指導をすることに。
水曜日の大会を通じて、出会ったプライマリースクールのコーチと連絡先を交換した。
そして、子どもたちに対して、指導をしてほしいという依頼をもらった。
というわけで、早速、本日指導することに。
基本的な練習を教えてほしい、ランニングフォームの指導をしてほしいという内容だった。
基礎的なドリル、リアクショントレーニングなどを行い、最後に50m走の測定を行った。
U13の試合は、来週の日曜日。
来週のどこかのタイミングで、もう一度練習の依頼をされたので、
少しでも力になりたい。
練習後、室内アリーナに行くと、バレーボールの試合が行われていたので観戦することに。
すると見覚えのある女子が数人・・・!
活動先の学校のバレーボールチームのアシスタントコーチをしていた男性コーチが、ムサンゼという別の地域の私立学校にヘッドハンティングされたのは1月のこと。
ちょうど校長が変わったタイミング。
そのコーチと共に、活動先の女子選手数名がその私立学校へ転校していた。
私立学校ということもあり、スポーツ推薦のような形で、彼女たちのスクールフィーが無料。
さらに、大会で勝利すると、賞金がもらえるという待遇付き・・・。
話が少し逸れてしまったが、これまでルワンダ代表の選手を何人も育て、活動先で25年以上指導するヘッドコーチと、ヘッドハンティングされたアシスタントコーチのチーム対決・・・。
勝利したのは、ヘッドハンティングされたアシスタントコーチのチーム。
転向した女子選手たちは私も仲が良かった。
久しぶりの再開、元気な姿を見れて、とても安心したし、嬉しかった。
予想せず、突然いなくなる生徒たち。
私はいまだに戸惑ってしまうけど、ヘッドコーチからしたら、よくあるような出来事なのだろうか。
5月5日|初めて泣きながら帰った日。
本日は東部県大会。
指導中の選手は、出場した種目全てで入賞することができた。
記録として残しておこうと思う。
100m Women
1st 12.50 Thabita
200m Women
1st 25.20 Thabita(PB)
200m Men
1st 22.50 Yves (PB)
400m Men
1st 51.08 Yves
800m Men
1st 2.02.43 Puppy (PB)
1500m Men
1st 4.09 Puppy
10000m Men
2nd 36.23.11 Jimmy
Javelin Men
3rd Gilbert
Shotput Men
3rd Gilbert
ルワマガナとしても総合優勝することができた!
選手のこれまでの努力を心の底から認めたいし、非常に誇らしい!
特に10000mのJimmyに関しては、本当にいろいろな葛藤がある中で臨んだ試合だった。
タイムは置いておいて、彼の思いの強さに感動した。
これは、後々コラムとしてnoteに残したい。
水曜日は大会があり、多少の疲労がある中での本大会。
自己ベストを更新する選手もいて、驚いた。
純粋に嬉しかった。
昨年と比較しても、タイムが伸びていること。
選手の努力が実って本当によかった。
その一方で、今日は私にとって、良い意味でも悪い意味でも忘れられない日になった。
全国大会がかかっている東部県大会。
「行くよ。」と約束したはずのカウンターパートは来なかった。
今日1日で、どれだけの人に、裏切られたのだろうか。
手配されたと思っていたバスは手配されておらず、直前に手配される。
出発したのは1時間後。
用意しておいてねと言ったパンとイチャーイ
「用意しておくね」と言われたのに、用意されていなかった。
やっと信頼関係が築けてきたはずのカウンターパート。
金曜日に
「僕は行かない。他の大会の審判があるから。」と言われた。
それでも、選手たちが少しでも安心して競技に取り組むためには彼の存在が必要だと思ったから、なんとか説得した。つもりだった。
大会前日の土曜日。
大会出場に必要な生徒証、試合で使う用具、スパイクやユニフォーム
彼がいない中、なんとか生徒と一緒に準備した。
カウンターパートに連絡すると「私は家にいるよ。」と連絡が来た。
彼の家は、今日行われる大会の会場近く。
もう一つの大会に行くのをやめ、自宅に帰ったんだと思い、安心した。
「明日は来るよね?どこで合流する?」と尋ねた。
「行くよ。カバロンド(彼の自宅がある場所)で合流しよう」とのこと。
そして、今日。
6:10に生徒たちと学校の校門前で待ち合わせした。
予定の5分前には生徒たちは待っていてくれた。
しかし6:20に来るはずのバスは来なかった。
30分後に現れたのは、郡庁の会計担当の女性とカウンターパートの友人。
その時に知った。
カウンターパートは別の大会の審判をするために、違う地域に昨日から行っていることを。
昨日彼が電話で、メッセージ上で私に伝えていた
自宅にいるということ
全国がかかったこの大会に一緒に行くこと
全て嘘だった。
どれだけ裏切られただろうか。
「選手のために」
この想いだけで活動してきた。
どんな理不尽なことも耐えた。
人とお金で動くこの国。
何かあった時に助けてもらえると信じて、ギバーになって、彼らを助けてきた。
ぜんぶ無駄だったのか。
怒りが湧いてくると思ったが、なんと言えばいいのか、言葉に表せないような負の感情。
会場までのバスに乗っている間、会場に着いたら切り替えて、選手のサポートに尽くそうと決めていた。
大会はなんとか乗り越えた。
途中途中で、私を初めて見る人々が
「ムズング!ムズング!」
「チャイニーズ!」
「金くれ!」
と罵倒してくる。
そんな彼らの声に傷つきつつも、無視して、なんとか気持ちを保っていた。
そして、試合を終え、活動先に戻った。
ディストリクトの会計担当の女性に感謝を伝えようと、その人の元へ。
彼女は、私の選手の1人と話していた。
そして、私を指差して「ムズング」なんちゃらかんちゃらと。
私の話をしている。
すると、選手が「ムズングじゃない、りさだよ。」と伝えてくれた。
「いやいや、違うよ。ごめんごめん」というディストリクトのマダム。
何が違うの?
私の中で、ディストリクトで働く人々は教養があって、
理解があると思っていた。
加えて、そのマダムは去年から何度も一緒に活動してきて、
全国大会にも一緒に行った人だった。
選手の「りさに謝ってほしい。」
その言葉を聞いた瞬間、その場からすぐにでも離れたくなった。
ここから今すぐ逃げないと、泣いてしまうと思った。
ムズング(白人)というこの言葉。
差別用語ではないという見方もあるらしい。
人によって捉え方は違う。
でも、私は、悪い方に解釈してしまう。
傷つくものは傷つく。
校門までの道、今日の様々な裏切りがフラッシュバックした。
学校の校門を出た瞬間、涙が溢れた。
泣きながら帰ったのは初めてだ。
というか、これまでどんなことでも、
「まあ、そんなもんだよな。」と思うことができていた。
ただ、今日に関しては、限界だった。
大切な人に電話して、今はもう切り替えることができた。
でも、疲れた。
選手の努力が報われる環境をつくりたい。
私の思いはこれだけ。
そのために努力しても、誰からも認められているという実感はないどころか、
無駄にさえ、思えてくる。
関係性を築けていないお前が悪い。
そう思われてしまいそうで、
このnoteに書くかどうかも迷った。
でも、これは開発途上国と呼ばれる国でコーチングを行う日記。
そして、初めて帰り道に涙を流した日。
私は決して、この日のことを忘れないと思う。
この日がいつか笑い話に、ネタになると信じて。
私は何度でも立ち上がって、前に進もうと思う。
全ては、選手の努力が報われる、そんな環境をつくるために。
おわり
東部県大会。
昨年も経験した本大会。
素晴らしい結果でした。
ここまでついてきてくれた選手に心から感謝を伝えたいです。
選手の変化を見れたこと、それが本当に嬉しかったです。
来週の土曜日は、陸連主催のハイレベルな大会が控えています。
シーズンが始まり、忙しい日々が続きますが、
空を見上げる程度の余裕は常に保ちながら、過ごしていきたいところです。