裸の王様化を防ぐFeedbackマネジメント論

先日、Yahoo Japanのニュースサイトを見ていた中で 

「片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)×作詞家・小竹正人 往復書簡3」という記事を見ました。

(私は数ヶ月前まで片寄さんがEXILEの事務所の方だということは認識してはいたのですが、パフォーマーの方だと思っていました。したがって彼についてデビュー当時からの変遷を鑑みて判断はできないのであくまで備忘録的に綴っております。)

引用

片寄さんの考えるSNSとの付き合い方

片寄さんご自身は

見ず知らずの方のつぶやきや投稿に気持ちがブレている時間が勿体無いですし、そういう自分に飽き飽きしたというのも理由のひとつです。自分に対する世論を知るツールとして“エゴサーチ”は有力。ただ、大体どんなことを言われているかは理解できたし、一度見なくなればあとは気にせず、自分らしくやろうと思えるようになるものです。
自分が頂いたお仕事に対して、他の誰かの意見や言葉を気にしながら臨むのは、お仕事を発注してくれた方に対してとても失礼なことなのではないか。そんな思いもあります。せっかくお仕事をするからには自分らしく、自分にしかできないお仕事を目指して取り組んでみたいと……。

とおっしゃっていて、

前提としてSNSの

メリット

世論を知ることができる、しかし一度見れば批判内容は大体わかる。

デメリットとして

批判的なコメントを目にして気持ちがぶれてしまうことを挙げられています。そういった自身に対して少し失望しているように感じられます。

ともおっしゃっています。

また仕事に対する姿勢として他人の意見を気にしながら行うのは、仕事を任せてくれた(発注というのは受身な印象ですが、おそらく任されたと言う意味なのかなと)人に対して失礼に当たるのではとも述べています。

日本内外を問わず、芸能人や著名人の方とSNSの付き合い方は非常に難しそうですね。

彼の素晴らしい点は

きちんとSNSが世論を聞くツールであると言うことを理解した上で、向き合おうとしている点だと思います。

批判的コメントを見ないけれど、裸の王様にもならない方法はあるのか

賛同的コメントだけを受け入れれば、批判的コメントは存在しないことになります。結果的にFeed Backが得られないと言うことですから、いわゆる裸の王様になってしまうのでしょう。関係性を悪くしてまで直接、批判を伝える人が多くなければ、奢りが怠慢を産むこともあります。

これはリーダーシップ論にも通じるところがありますね。

現に、裸の王様となってしまった芸能人の方や、CEO、それが企業の倒産を招いてしまった例はたくさんあります。

一方で片寄さんも言及していたようにデメリットはしっかりあります。

自殺者がでたことでさらに社会問題化しました。

SNSの難しい点

それが半分ビジネス目的、半分個人的なものとして取り扱われている点にあると思います。

ビジネス目的として告知などに利用される一方、ファンなどとのコミュニケーションの場として著名人とを繋ぐように機能しています。

したがって、マネジメントとしてもどこまで周囲のスタッフや事務所の方の介入が必要なのかの線引きが難しそうです。

橋本環奈さんのInstagramを見ているとマネージャーさんが管理しているのが見受けられます。ビジネスとして利用すると明示しているのは、タレントさんを守る一つの手段だと思います。

タレントさんを守るためのFeedbackマネジメント論

個人的見解ですが

SNSでの人格否定など誹謗中傷はのぞき、

建設的な批判であった場合、Feedbackとして企業側がタレントさん、この場合は片寄さんに知らせるのも一つの方法なのかなと思いました。(ただすでにLDH社が行っているのかとは思います。以前noteで、LDH元マネージャーの方の記事を拝見したので、Feedbackについても徹底されているかもしれません。早川真翔さんの別の記事も興味深く拝見しました。時間をかけること、ビジョンの一致、ダイアログという三点面白かったです。)

画像1

片寄さんご自身は見ないようにしているとおっしゃっていたので、ただ世間やファンのニーズを反映、汲み取り向上する機会として活かすならば Feedback形式でスタッフさんから伝えてもらうのが良いのではないでしょうか。1on1やサーベイを利用するのも一手かと思います。

最大の目的は、タレントさんご本人が自身の世論を誹謗中傷含めて目にする必要性はないということです。したがってSNSもある程度マネージメントの範疇にいれるのも良いかと思います。Elon MuskなどはTwitter の発言で裁判になったりしましたし。

画像2

Washington post September 28, 2019

リーダーへのフィードバックは難しい

では、どういうふうにタレントもしくはリーダーシップを持つ人にFeedbackを行えば良いのでしょうか。

例えば片寄さんは「片寄涼太」というチームのリーダーであり、それを支える多くの人材がいます。もしヒエラルキー型であるチームならば、周囲にとってリーダーである片寄さん本人にポジティブなフィードバックはしやすくともネガティブなフィードバックを行うことは簡単なことではありません。

画像3

引用

片寄さん自身もチームからのFeedbackにオープンであるという態度を示す必要があります。

またFeedbackを行う側も適切なフィードバックを行う必要があります。

画像4

 引用

360度フィードバックがリーダに対して有効という論文もいくつかあったので、導入してみるのも面白そうですね。

This study demonstrates that improved leader behavior following 360-degree feedback is related to improved employee attitudes. 周囲へも良い影響を与えるようです。
Atwater, L., & Brett, J. (2006). 360-Degree Feedback to Leaders: Does it Relate to Changes in Employee Attitudes? Group & Organization Management, 31(5), 578–600. https://doi.org/10.1177/1059601106286887

スポーツ界メンタルマネジメントの例に倣う

著名人の方は注目が集まりやすかったり、自身が商品であることを考えるとメンタルの不安定さを招きやすかったりするのでしょう。

スポーツの世界ではメンタルのマネジメントは、

画像5

上記のようなメリットを元に取り組まれています。引用

画像6


Bell, C. (1997). Promotion of mental health through coaching competitive sports. JOURNAL OF THE NATIONAL MEDICAL ASSOCIATION, 89(8), 517–520.

上記をみるとリーダシップ向上にも言及していますし、これはタレントさんのマネジメントにも応用できそうだと思いました。

画像7

引用

包括的アプローチですね。

スポーツコーチングだけではなく、Talent Development的コーチングアプローチも効果的だと思います。

最後に(思ったこと)

芸能人の仕事の逐一は見られているからこその苦労

著名人、特に芸能人の方々は、日々のお仕事が公開されており、評価の対象となります。一般人であれば、仕事を失敗したり気合が入らない日であってもそれを何千、何万人に逐一見られ批評されるということはありません。そういった意味で常に見られる関心の対象である仕事というのは大変な努力がいるんだと思います。その中でも片寄さんご自身の自分を俯瞰しながら、向上していこうという気概とプロとしての芯の強さを垣間みた気がします。

容姿込みの仕事であるということ

また容姿に関しても、歌手としての資質プラス、容姿の資質がプラスしてお仕事に繋がる立場だからこそ、容姿も「片寄涼太」というビジネスの一側面を担っています。したがって、容姿について批判されたり、比較されたりするのは向上できる部分が限られている分、苦しい時があるのかと思いました。

幸せを与えられる立場は幸せであるかもしれない

ただ、彼の苦しみや苦労の上にエンターテイメントが成立し、それによってファンの方にたくさんの至福の時を与えられる職業や立場というのは限られています。彼を心の支えにしているファンがたくさんいて、人々を幸せにできるお仕事というのは尊いとも思いました。











いいなと思ったら応援しよう!