地下室のヘンな穴(2022年・フランス・原題:Incroyable Mais Vrai)
ひっさしぶりに、面白いって感じられる映画に会った。。。
その時のメンタルとか環境、自分の感性にも依存するんですが、ここ最近、映画ドラマアニメ小説含めてなかなか「面白い!」って思えるものに出会えていませんでした。
余裕もなくて探索できていなかった、というのもありますが、退屈で退屈で。。。
人間、自分に退屈しているときは、何を観ても退屈なのかもしれないな、と感じていたら、、
2022年のフランス映画、地下室のヘンな穴(原題:Incroyable Mais vrai)です。
(タイトル通り)かなり変な映画なんですが。
以下少々ネタバレ含みますが、映画の冒頭で判明することなので問題ないと思ってます。
ある中年夫婦が購入した夢のマイホーム、そこの地下室には謎の穴が空いていて、それに潜ると、12時間先の未来になっている。それだけじゃなくて、実は体は3日分若返っている。そんなヘンな穴に振り回される夫婦のお話。
この映画にはテーマは二つあって「地下室のヘンな穴」と「電子ペニス」でした。
個人的にはこの電子ペニスがめっちゃ面白い…
中年夫婦の旦那さんが勤めている保険会社の社長が自分のペニスを電子機器にしていた、という設定なんです。
「電子ペニスがあるとしたらこんなのかも知れないな」、って妙なリアルさとくだらなさがちょうど良くって。
要は、
「時空を歪める若返りの不思議穴」と「架空最新技術のメカペニス」のお話なんですが、
しかし、それらの謎や詳細にフォーカスしたストーリーではなくて、それらに振り回される人間の愚かさと心の弱さのお話。
社長はちょっとメンヘラで、そこからくる「情けなさ」と「電子ペニス社長」というコントラストが面白かったです。
一方でヘンな穴にのめり込んでしまう奥さんの方はなかなかシビア展開。若さを手に入れようと、どんどんおかしくなってしまいます。
電子ペニスもヘンな穴も、どちらも「若返り」という欲求に関係するものです。
豊かな現代人というのはほとんど全てを手に入れてしまったが故に、そういった事に欲を見出します。
そもそも「何故若返りたいのか?」。
そもそも「何故生きたいのか?」。
「何故お金をたくさん稼ぎたいのか?」にも通ずるものがありますが、
こういった欲求は、実は、ちゃんと熟慮されたものでは無い事も多いかもしれませんね。
また、もう少し、自分ときちんと向き合ってみよう、と思えました。
…と無理やりこの映画から何かを得ましたが、
そんな事しなくても面白かったです。
正直万人受けはしないでしょうけど。
くだらなさと、人間のダメなとこを面白くする感じ、そして時間が関係しているところとか、ちょっとヨーロッパ企画さんっぽさもありました。
ヨーロッパ企画の作品が好きな方なら、この映画も好きそう。
いやー、良かったー久々に面白いのに出会えて!
それでは。