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耳で本が読める幸せ
文字が見づらい私は耳で本を読んでいる
その音声読書を始めてから
スマホのメモに残した読んだ本のタイトルが99になった
それまであまり本を読まなかった私が
本を読み始めたのは
世の中のハンデのある人達はどういうふうに生きているのか知りたくなったから
そして
視覚がないとどうなるのか、本当に視覚は一番なのか、人として失くすとやばい感覚は何なのか
どんな本を読んでいても、いつもその視点は消えない
そんなマニアックな視点で本を読む人はあまりいないと思うけど
意外な本にヒントが落ちていたり
どんなジャンルの本にも普遍の真理が隠れていて
どんどん本を読むうちに
それらのピースが私の中でつながって確信となり
見えなくなることが絶望ではなくなった
心がモヤモヤした時や不安になった時も
本を読むといつでもワクワクして力が湧いてくる
私にとって本を読む事は
人からリアルで深い話をじっくりと聞いているようなもの
だから本から元気をもらう事は結局、人から元気をもらっているのだと思う
音声読書に出会って
本はもはや私の血肉骨をつくる食事になった
そんなリアルが好きな私が
99冊目に選んだのは珍しく小説
小川糸さんの
「とわの庭」
主人公は目の見えない女の子
盲導犬も登場すると知り読み始めた
今までいくつか読んだ視覚障害や盲導犬を扱った話には
「それはないわ」と正直がっかりすることが多かった
でもこのお話は
すーっと心に入ってきて
とわちゃんの気持ちが素直に理解できる
今の自分とも重なる
小説なのに本当にとわちゃんがどこかにいる気がする
思わず2度、聴き返したけれど、ますますそう思えた
読書をしていると
その時々の自分にぴったりの本がタイミングよく巡ってくることがよくある
密かに私は本を引き寄せる才能があるとめでたく思っているのだけど
それも読書の不思議
きっと本好きの人なら誰もが体験しているのだろうな
目が悪くならなかったら、そのまま本を読まない人生だったかもしれない
そう思うと失くすものばっかりじゃない
残りの人生
あとどれぐらい本が読めるだろう
死ぬまでにもっともっと本を食べて食べ尽くして死にたい