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盲導犬の本当のすごさ
5月
3人と1頭で
空を飛んで親類に会いに行ってきた
盲導犬はスーパードッグではあるが
どうしようもない赤ちゃんでもある
だから旅行は赤ちゃん連れのつもりで動くとちょうどよい
食事、排泄、休息、受け入れてくれるホテル探しや飲食店での入店交渉…etc.
白杖なら必要のない時間と労力を同行者にもたくさん使わせることになる
それでも私の家族は面倒くさがらず、私の相棒・姫を家族の一員として、ごく当たり前に協力してくれた
家族だけでなく旅先で関わった人たちも
姫の様子にみんな笑顔になって、本当に赤ちゃんを大切にするように動いてくれる
その時、おそらく私の影は薄い
皆が姫を見ている
そして私も
母の気持ちで赤ちゃんの様子に気を配っているうちに、自分が障害当事者、見えにくい主人公であることをしばし忘れ、
気づくと姫が受けた親切のおこぼれを戴いているような気分になる
犬を縦にして自分が利を得るなんて、なんだかちょっとズルい気がしてしまうけれど
目の悪い中年のおばさんがスポットライトを浴びるよりも
かわいいワンコが主役のミュージカルの方が
みんなをほんまかハッピーな気持ちにするのは間違いないから
それで良いのだ
主役の姫の後ろで、私は影薄く背後霊のように静かに恩恵を受けるぐらいが
自分にも周りにも幸せなのだ
赤ちゃんと動物は最強
その2つを持ち合わせている姫は
もう、スゴい
盲導犬の本当の凄さは実はそこなのかもしれない、と思う
本人はいい事している風もなく
いたって自然体なのがまたまたスゴい
本当の利他とはこういうことを言うのだろう
旅行と言ういつもと違う環境で
ハーネスをつけた時は
空港や観光地、人の多い場所では特にテンション上がってグイグイ頼もしく歩いてくれる
そして
ホテルや親類の家でハーネスを外した時は
いつもとはまた違ういろんな表情を見せてくれて
言葉をしゃべらない
吠えることさえしないのに
なんと感情が豊かなんだ、と
もうこの子は
犬の皮を被った人間の子供にしか思えない
完全にうちの末っ子、もう家族だなぁと感じた旅になった
盲導犬にはいつか引退の日が来る
引退したらまた新しいご主人のもとで普通の犬として余生を過ごすことになるので私は最後まで面倒を見る事はできない
だから
家族だなぁ、と思うと同時に、どこか切ない気持ちも必ずセットで付いてくる
でもどんなことも永遠ではない、
限りがあるからなおさら大切にしようと思う
そういうことも、日々、この子は教えてくれている
もちろん、そんな哲学者な素振りはありもせず
相変わらず赤ちゃんみたいだけれど