トーチャン

トーチャンが死んだ
享年92歳。卒寿を迎えられたのは本当にすごい。
すごいけど心不全や心房細動、骨粗鬆症と病気のオンパレードで、安静にしてればなんでもないんだけど今月頭ぐらいからトイレ行くだけで息切れが酷くなり、今月半ばに病院連れて行こうとしたらトイレに入ったまま息切れが酷くて立ち上がれず慌てて救急車を呼んで即入院。肺に水が溜まり、ヘモグロビン値が低く重度の貧血で酸素が取り込めてないとのこと。
輸血を試みるもヘモグロビン値が上がらず医者の見立てだとどこかから出血してるか血液を作れない状況なのでは?と。
詳しい検査をしたいけど息切れも酷くせん妄も出てしまい詳しい検査もできないまま死んでしまった。

認知症のカーチャンを置いて。

入院当初はまだ少し喋れたので見舞いに行った時に「カーチャンの事は心配しないで良いからちゃんと治してな」っていうと俺の手を握って「ありがとうよろしくな」って言い出した。
普段は俺の手を自ら握るなんて事は滅多にというか絶対しないのにして来たのでなんとなくこれは本人も死を覚悟したのかなと頭によぎった。
その後も何回か見舞いに行ったんだけど、話すと息切れが酷くなるので毎回一言二言話すだけで帰って来た。

入院して1週間ぐらいしたら昼に病院から電話があり血圧が下がって危篤状態なのですぐ来てくれと。
急いで行くと俺の声を聞いて正気に戻り苦しそうにしてもなんとか意識は保ってくれてた。血圧も少しづつ回復し、よびかけには応じるし答えようとしてるんだけど呂律が回ってないのであまり喋らすのも身体によくないし、体調も落ち着いて来たのでひとまず帰ることに。
そしてその2日後の午前0時半頃にまた病院から電話。
何分ぐらいで来れるかっていうから10分ぐらいで行きますと言うと、もしかしたら間に合わないかもしれませんが承知してくださいと。
急いで行くともう意識は無く血圧も計れずかろうじて心拍がゆっくり動いてるだけ。
看護師が「まだ耳は聞こえてるから話しかけてあげてください」と言うのでいままで言えなかった感謝の言葉と母さんは責任持って面倒見るから心配しないで大丈夫だよ、ずっと尊敬してたよと言ったら心拍も無くなってしまった。
その後医者に死亡診断をしてもらいそのまま葬祭場の霊安室に運んでもらった。

父さん、92年も生きてくれてそばにいてくれてありがとう。育ててくれた恩は忘れません。
若い頃はわがまま放題させてくれて本当にありがとう。
自慢の息子にはなれなかったし大した恩返しも出来なかったけど、亡くなるまで一緒にいられたのは本当によかった。
最後も俺が来るまで頑張ってくれてありがとう。
近いうちに俺もそっちに行くけどそれまで待っててね
母さんは俺が責任持って最後まで見るから安心しててね。

本当に感謝しかないよ。ありがとう。
大好きだよ。父さん。

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