「うまくいく」って何だろう
人生は「うまくいって欲しい」ものである。
しかし「うまくいく」とは何だろう?
たとえば祖国と民草を守るために尽力した英雄である岳飛将軍は、現在でも中国で広く尊敬を集めている。
しかし、彼は最後。
国防戦線における和平派の筆頭・秦檜宰相の謀略によって処刑される。三十九歳の若さだった。
この時岳飛将軍が「秦太師の言うことももっともだな。もう抗戦なんて考えるのは辞めるよ」といえば、何の問題もなく穏やかに余生を過ごせたかもしれない。
そうなれば岳飛将軍の名前はおそらく、後世大した評判を残すことは無かったであろう。
どのみち岳飛将軍が決死の覚悟で戦った金国もモンゴルに滅ぼされるし。
宋国が滅びる結果は同じだったとしても。
抗戦の意志を示したことによって、処刑されても岳飛将軍は現在の名声を得ることが出来たのである。
短命に終わるも、歴史に高名が刻み込まれた岳飛将軍。
穏やかな余生を満喫するも、歴史の重さの前に名が潰えた岳某。
一体どちらが「うまくいった」のであろうか。
私なりに思うことはあるが、ここで書くのは辞めておこう。
人間は考える葦なのだから。