#3 復活礼拝堂:トゥルク(フィンランド)
トゥルクの復活礼拝堂(エリック・ブリュッグマン設計)を訪ねました。冬戦争で工事が中断するなど、戦争が色濃く影を落とすなか、1941年に完成。 広々とした共同墓地の敷地にある、松林に囲まれた礼拝堂です。
正面入り口 80年の歳月を経た銅板のドア
中に入ってみます・・ ドアのガラスには蔦の装飾が施されています。
ふつうは祭壇に向かって、まっすぐに通路があり、左右対称にベンチが並んでいますが、ここではあえて斜めにベンチが置かれています。右手に広がる松林が、自然と目に入るようになっているのです。
淡い色のステンドグラスから差し込む光が、柔らかに拡散して、繊細で美しい。
祭壇には木の十字架とともに蔦が配されています。
まるで魂が天に旅立っていくような照明。天使もいっぱい飛んでいそう・・
ドーム型の天井。ロマネスクの教会を思い浮かべます。
外側のガラスは細い桟があるだけで、手前の太い柱によって支えられています。そのため、中にいながら、自然との一体感を感じることが出来ます。木々や石にも精霊が宿ると考えていたキリスト教以前の自然崇拝が、深いところで息づいているような・・・
冬の真っ白な雪景色も見てみたい・・・
エリック・ブリュッグマン自身戦争で親友を失い、深い悲しみのなかで設計を進めたそうです。北欧ロマンティシズムの頂点と言われる礼拝堂は、美しくて、心に響く空間でした。ただここに居るだけで、どんなに癒しと救いになるでしょう・・・
「そうだろう? ワシは子供の頃から、ここに来ておったよ」 そんな声が聞こえてきそうな背中がみえました。
<トゥルクの復活礼拝堂 公式サイト>