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ヘルシンキから、サンクトペテルブルク日帰り旅

2019年、ヘルシンキから日帰りでサンクトペテルブルクを訪ねました。 夫の到着を待つ間の一人旅。気に入ったら、次は二人でゆっくり行くことにして・・・
ヘルシンキからサンクトペテルブルクまで、高速列車で3時間半。 
グレーの線が国境です。地図で見ると本当に近い!
 


朝7時20分発。 外はまだほの暗く、早朝から開いている駅の売店で、朝食用のパンとコーヒーを買いました。 
サンクトペテルブルクは聖ペテロにちなむ地名で、フィンランド語ではPietari(ピエタリ) フィンランド語は響きがかわいい♡


ALLEGRO(=速く♪)という名前の列車は、車体の模様もロシアンカラーの五線紙みたいです。

チケットのお値段は39ユーロ


席に着いてリュックを降ろし、何度も確かめたパスポート一式をもう一度確認しました。 国境に差しかかると、腰に銃を差した無表情な制服姿の一団が乗り込んできました。 何事もなくパスして一安心。 


ふと気づいたサイン、真ん中は禁アルコールですか?  


サンクトペテルブルク駅で待ち合わせたガイドさんは、上智大学に留学経験のある若いママさんで、日本語がペラペラでした。 メトロで移動するため、おもちゃみたいな専用コインを券売機に入れて、1回分の乗車券を買いました。 「ここの人は荒っぽくて、改札付近でグズグズしていると怒られるから、さっと通りましょう」とのこと。そう、ここは都会なのでした。 

エスカレーターが長い! サンクトおのぼりさんな私


地下鉄網は思ったより発達していて、各駅にテーマがあり内装も美術館のようです。

ロシア語のアルファベットはチンプンカンプン~◎□⁂×▲


地上に出ると、気持ちの良い青空が広がっていました。 ネフスキー通りには大きな石造りの建物が立ち並び、首都だった町の歴史と風格を感じさせてくれます。

道行く人は、のんびりお散歩&お買い物モード


マネキンがSALEの広告を顔に張り付けていました。 銃*刑になる人の目隠しみたいに見えて、ちょっと怖かった。(想像力たくまし過ぎ?)


通りで見かけた対独戦勝記念日のポスター。900日を耐え抜いたレニングラード(現サンクトペテルブルク)包囲戦の写真が使われています。

教会前の広場でも、飢えをしのぐために野菜を作っていました


ネフスキー通りでひときわ目を引く美しい建物は、ドム・クニーギという有名な本屋さん。 元はミシンのシンガー社の社屋だったそうです。 

2階にはおしゃれなカフェもあります

血の上の救世主教会
物騒ぶっそうな名前の由来は、皇帝アレクサンドル2世が暗殺された場所に建てられたから。 ブルーと黄金のたまねぎ型が印象的で、とても優美です。 今だとウクライナカラーにも見えてしまう・・・ 

ソ連時代は野菜倉庫として使われたことも


窓口の引ったくり注意のイラストが、リアルな力技でした。
ロシア人でも被害にあうそうで、なんとガイドさんも経験があるそうです。思わずリュックを抱えました。


壁面を埋め尽くすモザイクタイルの聖像イコンや天井画に、圧倒されました。



修復の様子   ドイツ軍の空爆で受けた弾痕はあえて残されています


観光名所だけあって、露天のお土産屋さんもずらっと並んでいました。 こういう場所に行ったのは久しぶりで、何だか新鮮な気分。


観光は全て歩きです。程よくお腹もすいて、カフェでランチタイム。  

地元の人の普段使いといった雰囲気


お食事系とスイーツ系の2種類のピロシキ、ボルシチと紅茶を注文しました。 


続いて、左の黄色いアパートは、ドストエフスキーの「罪と罰」に登場するラスコーリニコフの家
小説は、ラスコーリニコフがこの家を出る場面から始まります。 今にも主人公が姿を現しそうな空気感でした。 

アパートの角に由来を記したプレートがあります


聖イサク聖堂
世界の4大ドーム教会のひとつで、収容人数14,000人の威容を誇る大聖堂。ドームの頂上に登ると、町が一望できます。

現在はロシア正教の記念博物館です


設計は、フランス人宮廷建築家オーギュスト・ド・モンフェラン


ミュンヘンの王立工房で作られたキリスト復活像(ステンドグラス)
西欧への強い憧れを感じます


一歩外に出ると、豪華絢爛けんらんとは真逆の長閑のどかさが嬉しい。

お幸せに☆


ハイイロガラス君がいました。 
主にフィンランド東部からロシアにかけて生息しているそうで、あちこちで会ううちに親しみがいてきた顔馴染かおなじみです。 


聖イサク大聖堂から元老院広場へ向かいます。

やっぱりスケールが違う!?



青銅の騎士像 
都のいしずえを築いたピョートル大帝の騎馬像です。命名はプーシキンの同名の長編叙情詩から。天に駆け上がるような躍動感です。


ネヴァ川
いくつもの運河を従えるサンクトペテルブルクの大動脈。 訪れた7月は鉛色で、川向うには軍艦も停泊していましたが、水辺はやはり和みます。

ネヴァ川の流れはフィンランド湾に注ぐ


憩いの水辺



そして、楽しみにしていたエルミタージュ美術館へ。 

世界中から訪れる見学者


さすが世界の3大美術館に数えられるエルミタージュ。 元宮殿だけあって、巨大過ぎていくら時間があっても足りませんが、ポイントを押さえて案内して下さったお陰で、効率よく見学が出来ました。 また、ゆっくり来ます!




宮殿広場
ナポレオン戦争勝利を記念した円柱が建つ広~い広場で、ミュージシャンが路上ライブをやっていました。 バリバリ短調マイナーな曲を低い声で延々と歌い、曇り空を背景に鬱屈うっくつした思いを吐き出しているかのよう。 


観光船が行き来するネヴァ川や運河は、ベニスさながら。


最後のディナーは、運河沿いのかわいいレストランで。 


少し早い夕食をおしゃべりしながら取りました


あっという間に一日が終わり、ガイドさんとツーショットの写真を撮って別れました。 世代は違うけれど、家族の話や何気ない女子トークが楽しかったです。 そんなことの方が記憶に残っていたりします。 

ここからはまた一人


深夜、ヘルシンキ中央駅に到着

お疲れ様!なパスポート・コントロールの皆さん


深夜のヘルシンキは酔っ払いも多そうだったので、駅直近にホテルをとっていました。 一夜明けて、サンクトペテルブルクの余韻に浸りながら、眺めの良いフロアで朝食を取りました。 ヘルシンキはのんびりしてるな~。


陸路で国から国へ移動すると、風景や人の表情、空気感がグラデーションのように移り変わっていって、空路とは違う面白さがありました。

<おまけ>
映画「コンパートメントNo.6」は、モスクワに留学中のフィンランド女性が、若い炭鉱労働者の男性と同じ寝台車に乗り合わせ、最北のムルマンスクまで旅をするお話です。 列車はサンクトペテルブルクを含むフィンランドとの国境に近い地域を北上していきます。
久々に良い映画を観ました!! 今まで見たフィンランド映画の中で一番好きかも。 最後にお薦めしておきますね。 カンヌ映画祭グランプリ受賞作です。

(画像:パンフレットより)


長い記事にお付き合い下さり、ありがとうございました。