デボラ・カーとロバート・ミッチャム、最後の共演作 3:Reunion at Fairborough
Reunion at Fairboroughは、輸入盤DVD(字幕なし)の他、Youtubeでフルバージョンを観ることが出来ます。英語が苦手な私でも、ストーリーをたどれたので、是非ご覧になって下さい!
”デボラと共演できるなら、自分はトップギャラでなくて良い”と語ったロバート・ミッチャムは、この作品で初めて、ギャラがデボラ・カーを上まわりました。1997年にロバート・ミッチャムが亡くなるまで、ふたりの親交は40年も続き、1991年にデボラ・カーがBritish Academy Film AwardsのSpecial Awardを受賞したときには、ロバート・ミッチャムがサプライズ出演してスピーチを行っています。こんな盟友を持てるって幸せですね。どの共演作を見ても、私には役柄と俳優がオーバーラップしてみえてしまいます。素敵な作品をありがとう!
空の戦い
映画は、対ドイツの空中戦に参加したアメリカ兵と、それを支えたイギリス国民にささげられています。
デボラ・カーが女優の道を歩み始めたのは、まさに戦争に突入する時代。軍事施設と間違えて攻撃されないよう、スタジオの屋根に見張りを置いて、空爆を避けながら様々な映画が撮影されました。デボラ・カーの最初の夫Anthonyは、歴史的なバトル・オブ・ブリテンを戦ったエースパイロットでしたし、デボラ・カーの父親も第一次世界大戦で、義足になっています。ロバート・ミッチャムも数カ月間徴兵されるなど、1980年代はまだ現役世代が戦争経験者でもあったのですね。役柄の年齢と実年齢が重なっていて、演技に重みを感じます。
4倍の勢力を持つドイツ空軍に、最初イギリスは劣勢を強いられました。イギリス本土を侵攻されかねない状況下、チャーチルは、日本の真珠湾攻撃を知って「これでアメリカが参戦する」と喜んだ?そうです。
回想シーンでは、モノクロの実写映像が使われていて、グレゴリー・ペック主演の「頭上の敵機」を思い出しました。戦争映画には珍しく、心理的側面を描いた作品です。
部下に優し過ぎるゆえ、戦果があがらず損失を招いてしまう上官に変わって、グレゴリー・ペックが赴任し、厳しく鍛えなおそうとして反発を招きます。隊員が力をつけるにつれ、信頼関係を取り戻すのですが、最も危険な出撃の際、グレゴリーペックは身体が動かなくなり、爆撃機に乗れなくなってしまいます。生身の感情を押し殺して任務にあたった結果で、実話に基づいているそうです。
「頭上の敵機」でも、空中戦の実写映像が使われているのですが、ものすごい数の飛行機が入り乱れて戦い、バタバタと炎上・落下していくのは本当に怖かった・・生死を分けたのは、ほんの少しの運でしかなかったのではないか、と思ってしまいます。
命をかけて戦っても、戦後になれば普通の人。また違う人生の起伏が待っています。Reunion at Fairboroughは、ノスタルジックなロマンスを描きつつ、戦争の時代を真剣に生き、散っていった人へ思いを寄せる素晴らしい作品だと思います。
テーマ曲
最後に・・・Reunion at Fairboroughは音楽も素晴らしいです。飛翔感のある情感豊かなテーマ曲を手がけたのは、あのナイジェル・ヘス♪ わたしには「ラベンダーの咲く庭で」の、情景が目に浮かぶような音楽が思い出されます。
長い記事にお付き合いいただいて、ありがとうございました。2枚目の画像はamazon primeよりお借りしました。