秘境ギアナ高地の旅 3 ロライマ山頂トレッキング~下山
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Day2: 山頂トレッキング
キャンプ2日目はトレッキングに出かけました。後ろの低い岩山の下がキャンプ地です。 テーブルマウンテンというと平らなイメージですが、実際は東京ドームが6000個も入る山あり谷ありの大地。 キャンプサイトもいくつかあり、場所を変えながら数日かけてトレッキングする人もいます。
つかの間でも晴れると、山頂が色彩を取り戻して生気あふれる世界になります。この日は休憩を含め7時間半の行程。いざ出発!
かつて南米大陸とアフリカ大陸は、ゴンドワナ大陸というひとつの大陸でした。大陸移動によって2つに分かれましたが、ギアナ高地は大陸移動の回転軸にあたり、ほとんど移動しなかったため、太古の姿をそのまま残すとされています。
プレートがせりあがって出来たアルプスなどと違って、テーブルマウンテンは周囲が浸食され固い地盤が山となって残ったもの。自分が立っているのは20億年も前の地面なのです。最古の大地が持つ途方もない記憶に比べれば、人の一生なんて星が瞬く一瞬よりも短い。一瞬でも星のように輝いているだろうか・・・
ロライマで出会う花が、どことなくアフリカの花と似ているように見えるのは気のせい?
水晶の谷
濃霧の中、滑りやすい坂を下った先に、雪が降り積もっているようにみえる白い谷がありました。 雪にみえたのはすべて水晶、まさに水晶の谷です。
水晶がこんな風に自然界に存在しているなんて全く知らなかったので、驚きました。
わあ、ほんとに水晶だ!
塊もたくさん。
水晶に価値があると分かって大分持ち去られ、これでも随分少なくなったそうです。持ち帰るのは勿論厳禁です。
食虫植物ヘリアンフォラ。 栄養分の少ない土壌は、食虫植物を育みました。
浸食された跡が廃墟のような岩。
雨が降ると、一気に濁流が発生。
あっという間にモノクロの風景に。
色々な形に見えて面白い。
ジャグジー
誰が名付けたのか、ジャグジーと呼ばれるスポット。透明度が高く、バスクリンを入れたみたいな色をしています。ひと風呂浴びたい気分。そういえば、もう何日もお風呂に入っていないなぁ。
ここでランチタイム。ショートパスタに何と即席ちらし寿司! 絶妙なタイミングでの日本食に皆笑顔になりました。やっぱりお米はパワーが出ます。
平らな砂地は歩きやすくて、ホッとします。
またガスがかってきて、展望ポイントも真っ白に。
最高地点目指して、ぬかるんだ道や崖をせっせと登っていきました。
マーベリック(The Car)
岩山のてっぺんがロライマ山最高地点のマーベリック。 車のような形にみえることから、The Carまたはマーベリックと呼ばれています。マーベリックは1970年代のフォード車の名前だそうです。
マーベリックに到達☆ やったね!と言いたくなるような急勾配でした。
グランサバナを一望に。
Day 3:山頂トレッキング
キャンプ3日目の朝を迎えました。
眠りから目覚めるクケナン山
明け方や食事を待つ間など、ちょっとした合間にこの場所で、時間を忘れて景色を眺めていました。 眺めるというより、ロライマ山と一緒に呼吸をして山と同期するような感覚です。朝になり夕になり、雲がかかって太陽が顔を見せて、と刻々と移り行くなかに、永遠の時間を感じる・・・
自分はこれを求めてここに来たのだと気づきました。
3日目もトレッキング。健脚チームはベネズエラ・ブラジル・ガイアナの国境が交わるトリプルポイントへ。トリプルポイントまでは往復約20km、8時間近くかかり景色はあまり変わらないと聞いて、私たちを含む何人かは比較的近いガチャロの洞窟に行くことにしました。
トリプルポイントを示す碑
碑の周囲をぐるっと回ると、3国一周になります。
ガチャロの洞窟
ロライマ最大のクレバスで、深いところは400mもあるそうです。
ガチャロは、クレバスに住んでいる鳥(アブラヨタカ:Oil Bird)の名前です。アブラヨタカは雛を煮詰めると油がとれることからついた名前だとか。姿は見えないけれど、風の音とともに時折不気味な鳴き声が谷底から聞えました。
地層がミルフィーユのように重なっています。ロライマ山は元々は湖の底だったそうです。壮大すぎて想像がつかないけれど、この地層はその名残なのでしょう。
どこかに巣が見えないかな~
なんと毒蜘蛛のタランチュラを発見!! きゃあ~、のんびり寝そべっている場合ではなかった。
珍しく穏やかな天気で、急ぐ必要もなく、山頂で一息つくような良い時間を過ごしました。 元気に下山できそうです。
最後の夜。 満月があまりに美しくて、なかなか眠れない・・・
Day4:下山
いよいよロライマ山とお別れ。といってもすぐ下るわけではなく、下山口まで1時間半ちょっと歩きます。
展望ポイントからの眺めを目に焼き付けました。
1000mも垂直に切り立った山壁のどこに道があるのだろう?と不思議だったけれど、それらしいルートが出来ていました。
はるか向こうの煙が出ているところまで行きます。
小さな滝で水分補給。冷たくて美味しい水は一番のご馳走で、生き返りました。
高度が下がるにつれ植生が変わり、ジャングルのようになってきました。
蒸し暑く、すでに膝はガクガク
へとへとになってベースキャンプに到着。 登頂ルートが限られているため、登る人も下山する人もここを通ります。徒歩で登るには4~5時間かかり、テントや食料持参で登っていく人には尊敬の念しかありません。
登頂ルート
クケナン川
高度が低くなると大敵は、プリプリというブヨのような虫。虫対策で肌の露出を避け防虫ネットをかぶり、石伝いにクケナン川を渡ります。
他にも虫対策として、インセクトシールドのアームカバー・ソックス・ストール・ブランケットや、米軍も使っているという強力虫よけローションなどを持っていきました。たしかに虫刺されで苦労しなかったから効果があったのかも。
振り返ると、大きな虹が見えました。「よく来たね、よく歩いたね」と山が言ってくれているようでした。 ありがとうございました!! 思わず感謝の気持ちが溢れました。
キャンプ地まではもうひと歩き。 日没を気にしながら歩みを進めました。
テック川
滑らないように、捨てても良いボロボロのソックスを履いて川を渡ります。
テック川沿いのキャンプ場で宿泊。 先に到着していた健脚チームは、すでに川で水浴びや洗濯を終えていました。 旅はまだ半ばですが、大仕事をひとつ終えたような安堵感が漂っていました。
まだまだお山の裾野です。
グランサバナを行く
ポーターさんは、食料や調理器具など30kgもある荷物を背負子で運びます。サバナだけでなく山の上り下りも荷物を背負って、サンダル履きでスイスイ歩くのでびっくり。
日陰のないサバナを延々と5時間歩き続けます。ここが一番ハードかも知れません。
と書きつつ、私たちヘタレ組はこのカートに乗せてもらいました。
ロライマ山が遠ざかっていく。
パライテプイに戻ってきました。 ポーターさんたちがボスから現金を支給されていました。今夜は一杯やるのかな? 本当にお世話になりました。
続くサンフランシスコの休憩所で頂いたケーキ。甘過ぎず口当たりも良く、とっても美味しかった!
最終目的地のサンタ・エレナのホテルに到着。
とりあえず文明世界?に戻ってきました。
久しぶりのシャワーを浴びてさっぱりしたあと、お待ちかねの豪華な夕食を取りました。
私達は、資料の赤い矢印を逆方向に進んだことになります。お疲れ様でした~! 既にロライマ山が懐かしい。
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