神から降格した息子
中学生になった息子がLINEを使うようになった。息子に連絡をしようと友達リストに名前を探すが見つからない。その中に見慣れない名前があった。
神である。
じんさん?かみさん?神様?私に神様の知り合いはいないので一応息子に聞いてみた。
「あんた、神様になったの?」
「そう、オレ神!」
どうやら中二病になったようである。
そんな中二病具合を微笑ましくみているとある日突然LINEの名前が苗字になっていた。「ダサいからやめろ」と友達に言われたらしい。友達のおかげで息子の黒歴史は短めで済んだようである。
それから数ヶ月、今度はLINEのアイコンが「あ」になっていた。中学生になると成績が張り出されるので順番というものを意識するようになる年齢だ。きっと五十音表の一番に憧れたのかもしれない。テストで一番を取ることも難しいが出席番号一番も難しい。
「あになってるけど?」と息子に聞いてみた。
文字の中で「あ」が一番美しいと言っていた。美しさについて色々説明されたけれどよく分からない。
この会話で将来が決まったり、ターニングポイントになったらどうしようとか、親が話を聞く姿勢を見せないといけないとか、色々考えている間に話しが終わっていた。
「せっかくなら自分で書いた文字にしてみたら?」
「あーね」
あーねと話を聞き流す息子に「あ」はピッタリな文字かもしれない。
#創作大賞2023 #エッセイ部門
クリエイターとしての創作活動に使わせて頂きます。 よろしくお願いします。