蓮池

画像1 子供の頃はよく上野に行った。博物館が好きだった。祖父が学生時代に通った陸軍学校があったらしい。祖父に連れられて博物館以外もよく見て回った。
画像2 上野の街の煩雑さと恩賜公園とのコントラストが好き。雑然とした繁華街とインテリジェンスの溢れる空間は高度で仕切られ、まさに上界と下界の様相を呈している。
画像3 雑然とした街には汚い飲食店や大声で魚介を売る中年男性。怪しい服飾問屋。その中を楽しそうに歩く高校生アベック。その喧騒すら届かない静寂に包まれた庭園や美術館。
画像4 日本という国の混沌の縮図であり江戸城と吉原の対比を更に圧縮させたような街が上野だ。美術館を見て、屋台で食事をし、庭園を歩いて腹ごなしをする。そんな時間が好きだ。
画像5 都内の歴史あるスポットは戦争による悲しみを随分と忘れ去ったような気がする。爪痕が消えた街で、元陸軍兵の祖父と過ごした時間は、街の雑音と静寂のコントラストより、更に強烈な印象を子供の僕に残した。

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