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帳簿の読めない日本人

猫に餌を与え、珈琲を飲んで、この文章を書き始めよう。

この文章を書く前に優しい言葉で、同じ内容を書こうと試みたが、挫折した。
日本人はお金の事をある程度わかっていますよ、だから、もう少し上を見るのは如何ですか?みたいな文章だ。

展開と結論がブレて、読むに堪えない駄文になってしまった。

今度は頭の中にある事を素直に吐き出そうと思う。

お金は元本資産

この話の最も確信的な論点はお金は元本資産である、という事である。

僕には多くの人がお金をただのチケットか何かのように使っているように見える。
それも資産ではあるのだが、お金:貨幣の役割の本懐ではない。

貨幣は商品引換券ではない。
お金があれば、何かを買えるのに、というのは
引換券があれば商品が貰えるのに、という感じだ。

その観点では、引換券を貰う為に労働し、引換券を使って消費し、また労働をして引換券を貰う、という生き方になってしまう。
ただし、貨幣は、そのような流れで使うように設計されていないので、必ず不調和が発生してしまう。

労働の再生産コストと賃金のバランスの話だ。
これは幸福とは程遠いサイクルであり、この提唱者であるカールマルクスは資本論の最後で資本主義の終焉を予言した程だった。

資産は装備

先ほど、引換券で例えたが、また別の見方をすれば、拾い物の武器だけで戦場を戦うのにも似ている。

裸一貫、戦場に赴き、近くの兵士を蹴り倒して、短剣を奪い、その剣を投げて、別の兵士を倒し、今度は拳銃を奪って、発砲しながら、次はマシンガンと手榴弾を奪う。
非常にアクション映画のようでカッコいいとは思うのだが、日常でそんなアクロバティックな生き方で暮らしていくのは至難の技だ。

一方、資産をコントロールする人は、戦車で戦う。爆撃機も使う。それらは戦場の外で作って戦地に持ってくる。製造基地に攻め込まれないように掃射砲も据える。

この話をしていると、第二次世界大戦で銃剣突撃の日本兵を機関銃で撃滅したアメリカ軍を思い出す。
まさに今、経済上で同じ事が起こっている。

戦車の作り方

僕が話をしたいのは、戦車の作り方だ。
使う要素は資本と運用と収益だ。
そして組み立て図が帳簿となる。

帳簿は何も会計ソフトや経理書類ファイルの中だけではなく、銀行通帳、証券口座、FXやCDFサイト、コンビニのレジの中にも存在する。

まず、原料となるのは資本だ。
資本はなんだっていい。一番一般的なモノは貨幣だ。
これが貨幣の主たる役割である。

資本を運用していく。運用方法はなんだっていい。
僕には僕の組み立て方があるが、それが一概に正解だというつもりはない。

そして収益が完成する。
収益は、また装備品としての資本に加えてもいいし、使ってもいい。
つまり新しい戦車を作るのにも使えるし、大砲の玉にもなり得る。
勿論、商品引換券としても使える。

戦車の作り方(具体例)

資産10万円からスタートしよう。
ここで最初に間違えてはいけないのは10万円は商品引換券として使わない事だ。
その間違えは1ヶ月と立たずに資産を消滅させる。

10万円を運用していく。
運用するのには当然、運用計画がいる。
手堅い選択で、年利5%配当の株式を5万円分購入するとしよう。
帳簿上ではここで現金資産が有価証券資産に半分移行する。

これだけで玉を発射する戦車の完成だ。
一年後には2500円が入ってくる。

帳簿記載は
現金資産10万円
現金資産5万円→有価証券資産5万円
収益2500円
最終資産総額10万2500円

だ。

しかし、1ヶ月10万円を消費して生き延びる事は出来るが年間2500円では生きていけない。
ここで労働性の資産運用が出てくる。
これは商品引換券獲得戦ではない事にご注意頂きたい。

労働性運用

スタートは同じく10万円だ。
そして月々10万円の消費コストが必要となる。

ここで思い留まらなくてはならない。
すぐに戦場へ駆け出し、兵士を蹴り飛ばして武器を奪ってはならない。
何度かは成功するが、その内、撃ち殺されてしまう。

正直、それでもバンバン戦える人がいるのも事実だ。
高所得を得て、ガッツリ消費する。
東京都港区辺りは、そんなサバイバルな戦場だ。

僕は遠慮したい。
そんなに戦えない。

ただ、テレビやSNSで発信される情報の大半はそういう人達向けの情報である事は心の片隅に留めておいて欲しい。

話を戻そう。
10万円の資産を計画を立てて運用していく。
ここではブルーカラーとホワイトカラーの2例を示そう。

ブルーカラー計画では
ヘルメットと命綱、安全靴や作業着、腰道具などを買い、建設現場で働く。

ホワイトカラー計画では
革靴、スーツ、パソコン、ネクタイ、シャツなんかを買ってオフィスで働く。

ここでの注意点は初期投資を怠らない事だ。
特に気をつけたいのが、着の身着のままでできる仕事や制服貸与の仕事だと厳しい。

1ヶ月働いて月20万の収益を得るとする。
就職は難しくない。
月20万程度の仕事であれば、ゴロゴロ転がっている。

ただし、自分が結果を出しやすい仕事を選ぶ事は大切だ。
でなければ、またアクションスターのような戦いを余儀なくされてしまう。

ここまでの帳簿上での動きを確認しておきたい。

現金資産10万円
現金資産8万円→労働装備8万円
給与20万円
現金資産10万円→消費
資産総額20万円

となる。

そして、また、その20万円を運用する。
道具を増やしたり、パソコンにアプリケーションを整備してもいい。
本を買ったり、資格を取るのもいい。

これらの投資は現金資産を別の資産に変換しつつ、給与増額に繋がる。
ただし、労働性運用には限界がくる。
自身の時間が有限だからだ。
なので、余裕があれば先述の戦車も同時並行で作っていく事をお勧めする。

元本資産

下手な譬え話と、設備消耗や株式の値段変動を加味しない大雑把な説明になってしまった事をお詫びしたい。
実際には、これに税金などの要素が加わり、更に面倒な事になるが、帳簿はそれにもちゃんと対応するので、安心して頂きたいが、今回は、そこは掘り下げない。

今回は大元となる資本がどうなっているのか、をまずは自覚する事をお勧めしたい。
よくバイトをしている学生が「お金がない」などと言う。
よく考えて見て欲しい。働いているのだから、お金がない訳はない。
それは商品引換券として消費してしまっているからないだけだ。

つまり戦車や装備の原料をスタバのドリンクやボーリング場で球を投げる権利、映える飲食店の食事や、某テーマパークのネズミの耳に変えてしまっただけだ。

命と時間を切り分けて稼いだ資本をただの引換券として。
そして、また引換券を手に入れる為に命と時間を切り分ける羽目になる。
この結末はカールマルクスにお任せしよう。

学生はまだマシである。
何せ切り分ける時間と命がまだ溢れるようにあるのだから。
それに学生をしていれば、今後仕事で使える装備を脳内に構築している機関でもある。
それは元本資産を知識という資産に変換する運用をしている事になるからだ。

問題は大人だ。
もう溢れる程の命と時間は残されていない。
それでも商品引換券としてお金を使い続ければ、命と時間はどんどん枯渇していく。

未だに裸一環、戦場に赴いている。
このまま、ずっと戦い続けるのは厳しい。
周りの人達はどんどんと戦車や戦闘機や火炎放射器を取り揃えてくる。

すぐにでも、戦車の製造と、せめて軍服やヘルメットの調達、ハンドガンくらいは用意しなくてはならない。
しかし、ここで多くの人が直面する。

自身の元本資産が分からない。
生きている限り、お金を使っているのだから、お金は引換券として使う前はあった筈なのに、全く運用元本がない、と思ってしまう。


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