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住宅ローン返済戦略


住宅ローンは多くの人が人生で背負う借金としては最大の借金となる。
正直、この住宅ローンというモノは住宅メーカーが家を売る為の必須ツールであり、多くの人は恐ろしい計画の元、誘導されるまま住宅ローンを契約する。

その恐ろしい計画というのは、このまま還暦過ぎまで働き続ければ返し終わるという計画である。

よく考えてみて欲しい。
30歳で住宅ローンを組んだとして、これから年々体力は衰えていく。また、新しい事がやりたくなったとして、それが今と同じ収入を手に入れる事が出来るだろうか。それも期間としては35年という長い期間。
また借金が成立して建物が引き渡された瞬間、新築だった家は中古住宅となり、借金相応額の価値は失われる。
35年の長い戦いの初日を多くの人が債務超過で迎える事になる。

これだけで充分に住宅ローンが恐ろしいという説明がつくのだが、更に恐ろしいのが金利である。0.5%など低い金利であるが、問題は母数の金額である。仮に3000万円のローンであれば、年間15万円の借金が増え続ける。
返済の一月分以上は金利だけを払っていると言って過言ではない。

さらに修繕費が嵩む。5年目、10年目とだんだん修繕費が大きくなり15年、20年とさらに膨れ上がり、25年目には年間100万円の大台に乗る家も多い。それだけの大金を掛けて修復しなければいけなくなっても、まだ1000万円くらいは借金が残っている。
酷い場合はローンを組んで修繕をする。

最もポピュラーでありながら、高額な借金である住宅ローンとの向き合い方は、今後現代社会を生きる僕達にとって必須のスキルになるだろうと考える。
この記事では僕の戦略を大まかにまとめながら、住宅ローンの向き合い方について考えていく。

①対家賃で効果を測定する

これはローンを組む前の段階で考えるフェーズである。親から引き継いだ住宅をお持ちの方は考慮する必要は無いかも知れない。

まず、家賃という出費に対して、住宅ローンを組んだ場合の返済額が負担増にならない事を考える。
これは住宅ローンだけでなく、修繕の積み立て、固定資産税なども均して勘定に入れておく必要がある。

この時点で家賃同等でありながら、QOL向上に優位に働くと予測できる場合には住宅ローンを検討しても良いと思う。
家を買う、という事に何かの幻想を抱いて、夢のマイホームだから頑張ってしまうような判断は、その後のQOL向上に大きな足枷を負う事になるだろう。

僕の場合はなんとか、家賃相当額に抑える事が出来、QOL向上に効果を発揮すると予測出来たので決断に踏み切った訳だが、住宅メーカーの言うなりに家を設計していたら、到底達成出来ない基準点であったと思う。

②住宅の価値を活かす

いざ、住宅を手に入れて、いよいよ返済生活がスタートする。
多くの人はここで人生で背負った事のない金額の借金がのし掛かっているのだが、ついに夢のマイホームを手に入れたのだ。

家具や家電など欲しいモノはいくらでもある。
この最初の段階で100万円くらい散財してしまう家庭も少なくない。
いや、しかし、ここで精神にブレーキをかけなくてはいけない。

何もない家を楽しめるのも、今だけである。
前の家から連れてきたモノだけで少し生活をして見る。

新築の木の匂い、広々とした空間。
今楽しめる事を存分に楽しもう。
必要になったモノは必要になった時に買い足せばいい。

それ以外にも自宅を手に入れたのだから、考えられる事は幾らでもある。
友人を招いたり、同じ道を歩むご近所様との交流も楽しもう。

また僕はそうであったのだが、事業を持っているなら自宅で事業を最適化する方法について考えてみる。
その空間が以前の家より生産性が上がるなら家を買った付加価値が増える。

③貯金を加速する

家を買う前に夢のマイホーム貯金をする家庭は多い。
しかし肝心なのは買った後である。

多くの場合、今まで家族とお金を貯めてきた期間より、家族で借金を返していく期間のほうが長いのだ。
ここで貯金の手を緩めてしまう訳にはいかない。

繰上げ返済の計画はまだ良いので、ともかく住宅ローン相当額を目指して貯金を開始する。
僕は一部繰上げ返済を実際に実施したが、これは別に重要な事ではなく当時、アベノミクスの効果に翳りが見え始めていた時期だったので投資効率が悪いと判断した為、繰上げ返済を実施した。

④貯金を投資に回す

貯金を貯金のままにしておいては、この先の長い道のりを闘うのは厳しい。
よくも悪くも、この先の道のりは長い。

なので、住宅ローン減税の適応期間に即した運用計画を立て、運用を開始する。
投資は時間を味方につければ有利になる。
住宅ローン減税は購入の時期にもよるがかなり長い間、効果を発揮する。

それをリミットに設定して資産運用を開始した。

⑤住宅ローン減税終了時に一括返済を検討

住宅ローン減税は正直、かなり効果が大きい。一般的なサラリーマン家庭であれば所得税は実質非課税になる。

この効果がなくなった時、金利と投資の年間収益率を比較する。
金利は低いが残金はどれくらい残っていて金利は幾らで、投資資金は幾らで、年間幾らのリターンをもたらしているか。

返済出来る選択肢のある金額が貯まっていれば良いが、そうでないなら実質金額をリアルに比べながら検討していく必要が出てくる。

バランスが取れる繰上げ返済額を模索する必要もあるだろう。

溜まっていれば単純に比率を比べれば良い。

⑥無理な修繕は行わない

ハウスメーカーは節目節目に改修、修繕を進めてくるだろう。
金銭的余裕と修繕によるQOL向上効果を念頭において判断するべきである。

ハウスメーカーは、あの手、この手で修繕工事を進めてくる。保証がどうだの言ってくるが無視で構わない。
元々碌な保証制度など大手であっても存在しない。

あくまで自分の資産である家の目的である家族の暮らしの品質に基づいた価値判断をするべきである。

終わりに

ハウスメーカーは人々に家を売り続けなければならない宿命を負っている企業である。
家は資産だと言う決め台詞は嘘800である。

引き渡しの瞬間から債務超過に陥る資産など、どんな投資家でも手を出さない。
それでも生活の品質を高める為に僕達はマイホームを求める。

数千万の借金をしているという規模感は零細企業なら倒産確率が充分高まっている状態である。
家庭という組織をマネジメントする意識、その財務体制の在り方を僕達は見通し、資産の仮面を被せた消費財を数千万で売ってくるハウスメーカーの都合ではなく、あくまで家族の都合で、住宅のプロジェクトをコントロールしていきたい。

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