バスク料理に欠かせない食材
アトリエ・グルマン クミコ料理教室です。
今回はフランス・バスク料理に欠かせない食材
ピマン・デスペレットとバイヨンヌ生ハムをご紹介します!
<ピマン・デスペレット>
Le piment d’Espelette(バスク語でBiperra)
見た目は日本の甘長唐辛子(短め)に近いでしょうか。
この色鮮やかなピーマンは17世紀の中頃にアメリカ大陸から新大陸征服者(コンキスタドール)たちによって持ち込まれ、エスペレット村とその周辺地域で栽培が始まり、広まりました。最初は薬として利用されていたそうです。
8月中旬、80%以上赤くなったら収穫が始まります。新鮮なうちに紐に数珠繋ぎのように通し、太陽の光が当たる家の正面に2ヶ月間吊るされます。バスクの家並みは白い壁に赤く塗られた窓枠なので、このピマンが吊るされた風景はバスクの秋の風物詩です。そして乾燥・熟成させ、粉末にして調味料として使用されます。(これは伝統的な手法で、現在では温室で2週間ほど、そして60度のオーブンで数時間乾燥させるそうです)
この粉末状のピマン・デスペレットを1キロ作るには8キロのピマンが使われます。そしてフランスで認められるAOP、AOCとして商品化されるには、エスペレット村をはじめ許可された10の自治体で栽培され、収穫は決められた大きさ(7〜14cm)で手摘みであること、15日以上の自然乾燥期間があること、他の添加物、着色料や防腐剤など添加していないこと、など厳しい条件をクリアしなければなりません。
逆にAOP、AOCとしては認められませんが、収穫時期にバスク地方に行くとレストランなどで乾燥させずに調理したピマン料理にも出会えます。
フランス料理で「・・・バスク風」とあったらこのピマン・デスペレットを使っていると思ってよいほどバスク料理には欠かせない食材です!
毎年10月の最後の土・日曜日はエスペレット村でピマン・デスペレット祭りが行われます。人口2000人の村に2万人が訪れるほどの賑わいです。2014年にはフランスの無形文化遺産に登録されています。
この時期に南西フランスを旅行するならこういう地元のお祭り、ぜひ行ってみたいですね!そして日本では滅多にお目にかかれないピマン・デスペレットを買いたいです!
<バイヨンヌの生ハム>
Jambon du Bayonne
生ハムといえば、イタリアのプロッシュート・ディ・パルマ、スペインのハモン・セラーノが有名ですが、フランスが誇る生ハムはこのバスク地方から生まれます。プロシュートやハモンに比べ、塩分が穏やかで繊細な味わいがあります。
この生ハム、1000年以上の歴史があるそうで、今も昔ながらの技法で生産されます。
まず、餌まで指定されたもので育ったこの地域の豚を冬の初めに屠殺し、肉を柔らかくするために長時間手作業でマッサージするそうです。そしてこの地域の塩(アドゥール盆地の塩)をこすりつけ、10日間塩漬け、その後2ヶ月吊り下げます。そして乾燥、熟成が7ヶ月以上。
このバイヨンヌの生ハムに特徴的なのは、ピマン・デスペレットを塩漬けと一緒に使うことです。他のハムにはない深い味わいが出ます。
地元のシャルキュトリーで生ハムを買うとき、そのまま食べるならばExtra fin(特別薄切り)がおすすめ、煮込みなどに使う場合は厚切りとリクエストしてください。また、カットされて最後にのこった骨、周りの肉をこそぎ落とし、豆やキャベツと一緒に煮込みながらスープの美味しい出汁がでます。これがお野菜いっぱいの家庭料理ガルビュール。こそぎ落とした筋も多い肉は煮込みに。
フランスバスクで一番華やかなバイヨンヌの街に行くと、生ハムが売っているお店がたくさん。生ハム博物館(Musee Jambon de Bayonne)まであります。
そしてここもお祭りが!
毎年4月の上旬に行われています。
40ほどの生産者による生ハムコンクール、生ハムを使ったオムレツコンクール、生産者の直売やレストラン関係者による出店、音楽や踊りなど、たくさんの人々で賑わう楽しいお祭りです。
http://www.bayonne-paysbasque.com/route_gourmande/foire_jambon_bayonne.php
バスク地方の主役となる食材についてお伝えしましたが、
次回はバスク料理について紹介していきます。
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